空梅雨の影響は? 2~3日の水不足で稲が枯れることも
井上キャスター:
AI活用で、異常気象でも収穫を安定させる取り組みが広がっています。

2021年に開始された「BASFジャパン」というサービスでは、農家さんが田んぼの位置情報とコメの品種などを登録します。料金は1年で1万3200円~、1作物2ヘクタールまでです。日本の平均の農家は2ヘクタールといわれているので、私は結構安いと感じました。
これがどのようなサービスかというと、過去の天気をAI分析して、トラブルを予測してくれます。「虫がでそう…薬を散布して」など、リアルタイムでスマートフォンで確認できるということです。

また、AIが衛星画像を解析し、たとえば緑の表示は生育が上手くいっているところで、赤の表示は生育がよくないところです。葉の面積を解析して生育状況を把握し、生育が悪い箇所には「肥料を与えて」というアドバイスもしてくれます。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
お米というのは“八十八”回の手間をかけて作るといわれていますが、田舎のほうでは、たとえば暑いときは用水路の草をあまり刈らないようにするそうです。逆に涼しいときは草を刈って、なるべく日光を浴びるようにする。そういう知恵が、ずっと伝承されてきているんですよね。
しかし、こういうAIを使えば、狭いところでいろいろ手間をかける必要もなくなってくるかもしれません。
出水麻衣キャスター:
昔はそういった勘というか、長年の蓄積でできていたと思いますが、最近の異常気象だとそれがもう応用できなくなってしまうので、技術に頼るというのは本当に適切ですよね。
井上キャスター:
初心者の方もどんどん参入しやすくなれば、業界全体が盛り上がっていきます。
では、空梅雨のコメへの影響はどうなのでしょうか?

福島大学の新田洋司教授によると、水田に必要な水は、それぞれ時期によって変えています。毎日抜いたり入れたりしているところもあり、それだけ大変だということです。
6~7月の成長期は、稲の成長に水が欠かせない特に重要な時期で、2~3日水が不足すると稲が枯れてしまうことがあるといいます。
気象予報士の河津真人さんによれば「6~7月は東・西日本で降水量が少ない予想で、珍しい事態」だということです。ただ、一概に水が少ないかというと、日本列島は広いので、場所によってもちろん変わります。

茨城の農家は「水源が霞ヶ浦なので梅雨は関係ない」と話していましたが、岡山の農家は「川の水を水源にしているので、このまま降らないと厳しい」とのことでした。
自然が相手なのでなかなか難しいですが、AIやデジタルを活用しながら進んでいこうというわけですね。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今回のコメ騒動で、コメとはそう簡単に作れるものではなく、農家の人たちが相当苦労して作っているのだと少しでもみんながわかってくれたことは、結果的に効果があったと思います。
井上キャスター:
政府も「作るな」と言ったり「作れ」と言ったりしますが、そんなすぐにはいかないということですよね。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年