2014年度に国のモデル事業として始まった「産後ケア」は、出産後の母子の心のケアや育児のサポートを行うものです。

「通所型」のほか、助産師などが自宅を訪れる「訪問型」、母親が赤ちゃんと一緒に最長7日間泊まり込み、24時間サポートを受けられる「宿泊型」があり、市町村によって助成が異なります。


宮崎県日南市は、これらの利用料を、8月から完全無償化すると発表しました。
「産後ケア」を実際利用した人たちの声を取材しました。

出産後の母親の回復を支える「産後ケア」。

日南市では、現在、「訪問型」は無償、「通所型」と「宿泊型」は、3割負担となっています。

こうした中、市は、県内で初めて、産後ケアの利用料を完全無償化する事業を今年度一般会計補正予算案に盛り込むと発表。
議会を経て、8月1日から実施することにしています。

宮崎市にある「母と子の家藤田助産院」。
妊娠中のケアに「通所型」「訪問型」「宿泊型」の産後ケア、それに、母親同士が交流できるイベントを開催しています。

助産師の藤田美和さんは、核家族化が進む中、産後ケアの重要性は高まっていると話します。

(藤田助産院 藤田美和さん)
「赤ちゃんってどういうものかもわからないまま、育児に入ってらっしゃる方が多くて、母親だったり父親だったりからの援助も受けられなかったりとか、悩んでらっしゃるお母さんがすごく増えている。それで、専門家のお手伝いが必要なのかなというのは、痛感してます。」

実際、産後ケアを利用した人に話を聞いてみると・・・

(利用者)
「病院の助産師さんたち忙しいので、聞いても結構バタバタしてるから、ゆっくり家でケアしてもらえてよかった」
「とてもあたたかくて、第二の母といっても過言ではないくらいすごく安心した。同世代の子供を持つお母さんたちと意見交換とかもできたりして、すごく精神的に安定できるような場所」
「こちらで産後退院した後に2泊お世話になったのがきっかけで、夫も泊まらせていただいたので、2人で教えてもらって、その後安心して育児できるようになってすごく利用させていただいてよかったなと思っています」

県によりますと、2023年度、県内で「通所型」・「宿泊型」・「訪問型」の産後ケアを利用した人は、あわせて1050人だったということです。

(藤田助産院 藤田美和さん)
「まんべんなく皆さんに利用していただきたいなって思ってはいるが、やはり金銭面だったりとか、利用できなかったりっていう方がいらっしゃいますので、もっと行政の支援っていうのは必要かなとは思います」

産後ケアを受けたい人は、お住いの市町村の担当窓口や保健師にご相談ください。