戦後80年の戦没者慰霊のため広島を訪問している天皇皇后両陛下が19日、広島市の原爆資料館で被爆者たちと懇談されました。両陛下は懇談に先立ち、原爆慰霊碑に花を供え、犠牲者を追悼。原爆資料館などの視察しました。両陛下の広島訪問は、即位後は初めてです。
広島を訪れている天皇皇后両陛下は19日午後、広島市中区の原爆資料館で被爆者たちと懇談。出席したのは、3人の「被爆者」と、被爆者に代わって体験を語り継ぐ「伝承者」の5人です。

被爆者は、12歳のとき爆心地から3.5キロにあった被爆し、両親を原爆に奪われた笠岡貞江さん(92)、90歳を超えて自らの体験の証言を始めた才木幹夫さん(93)、14歳のときに被爆した梶本淑子さん(94)です。3人は、90歳を超えたいまも、核兵器廃絶のため修学旅行生などに被爆証言をしています。
懇談を終え、笠岡さんは「私たちにも『これからも健康に気をつけて』とおっしゃてくれた。本当に国民のことを心配してくださっている。ありがたいなと思う。(被爆の実相を)感じてくださったと思います」と話しました。
才木さんは「父の被爆の状態を(陛下から)聞かれてケロイドで蟹のようになって戻らなかったと伝えて。時間オーバーして資料館をご覧になり、私たちにも親しくお話お聞きいただいて、十分に被爆状況を感じてもらえたと思う」と話しました。
梶本さんは「94歳にもなる私の話を真剣に聞いてくださるお姿をみて嬉しく思った」と振り返りました。「戦争は絶対にしてほしくない。戦争をしている国は一刻も早くやめてほしい」と話すと、皇后さまから「平和は大切ですね」とお言葉があったということです。梶本さんは、「いまの平和がどれだけ幸せか。戦争のない今の平和が本当に大事。皇后さまからその言葉を聞けてうれしい」と話しました。
両陛下は被爆者たちとの懇談に先立ち、原爆慰霊碑への供花や原爆資料館の視察をしました。