アメリカ・カリフォルニア州で今、注目の「3Dプリント住宅」。環境に優しい、その技術とは? 

■トイレやシャワーも完備「3Dプリント住宅」

環境に優しいと、今、注目を集める住宅。モデルルームはロサンゼルスにありました。広さは30平方メートル。壁や天井のほとんどが、3Dプリンターで作られているのです。トイレやシャワーも備えられていて、値段は日本円で2000万円ほど。

マイティ・ビルディングス ケンブリア・フォーデンさん:
壁の内側に3Dプリントされた素材があります。壁全体に使われていて、24時間もかからずにプリントすることができます。

■建築廃棄物を9割以上削減 割安での住宅販売も

なぜ、環境に優しいのか。サンフランシスコ近郊にある工場を訪ねました。稼働していたのは、巨大な3Dプリンター。壁に使うパーツを2つ同時に作っていきます。

記者:
3Dプリンターに供給されている材料は缶の中に入っています。すくってみますと、かなりドロドロとしています。

この素材、紫外線を当てると分子が変化し、瞬時に固まるという特殊なもの。曲線や空洞のある構造も正確に作ることができ、高さおよそ1.2メートルの壁材が6時間ほどで完成しました。固まるとコンクリートより軽く、衝撃に強いといいます。

また、無駄な廃材が出ないため、同じサイズの木造住宅と比べて建築廃棄物を9割以上、二酸化炭素の排出を2トンから3トン削減することができるといいます。技術的には、骨組みなどを除く全工程の8割を3Dプリンターで作ることもでき、工場で生産することで資材などの輸送費や人件費を抑え、割安での住宅販売も可能なのです。

マイティ・ビルディングス サム・ルベン共同創業者:
二酸化炭素の11%は建築産業、28%は住宅から排出されています。気候変動の問題に対処しながら、高騰する住宅供給問題も解決したいのです。

■キャンセル待ちは800人 注文殺到する「3Dプリント住宅」

2022年には、ロサンゼルス近郊にこうした「3Dプリント住宅」の町が作られる計画です。電気は、すべて太陽光発電でまかなわれることもあって、環境問題に関心がある人を中心に注文が殺到、キャンセル待ちは800人となっています。

早くて、安くて、環境にも優しい。そんな住宅を供給できる3Dプリンターの存在感は、ますます大きくなっていきそうです。