被爆の実相伝える原爆資料館を視察

日本被団協のノーベル平和賞受賞に関する展示を見られる天皇皇后票陛下=原爆資料館で

原爆資料館では、両陛下はまず、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協に関する展示の説明を受けました。その後、東館や本館を視察されます。

資料館では、東館にある導入展示「失われた人々の暮らし」に設置されている「ホワイトパノラマ」を視察。「ホワイトパノラマ」は、コンピューターグラフィックス(CG)で作った原爆投下時の映像を市街地模型に投影したもので、原爆が炸裂し、町が一瞬にして消え去ったことを伝えています。

本館では、空襲に備え防火帯を作る「建物疎開」作業中に原爆に遭った少年少女が身につけていた学生服などの集合展示。当時3歳の男の子が遊んでいた三輪車、黒焦げになった弁当箱といった子どもたちの遺品のほか、放射線の被害を伝える写真、被爆者が描いた原爆の絵などが展示されています。

原爆資料館の視察後、両陛下は、被爆者たちと懇談。出席したのは、3人の「被爆者」と、被爆者に代わって体験を語り継ぐ「伝承者」の5人です。

被爆者は12歳のとき爆心地から3.5キロにあった被爆し、両親を原爆に奪われた笠岡貞江さん(92)、90歳を超えて自らの体験の証言を始めた才木幹夫さん(93)、14歳のときに被爆した梶本淑子さん(94)です。3人は、90歳を超えたいまも、核兵器廃絶のため修学旅行生などに被爆証言をしています。

懇談を終え、笠岡さんは「私たちにも『これからも健康に気をつけて』とおっしゃてくれた。本当に国民のことを心配してくださっている。ありがたいなと思う。(被爆の実相を)感じてくださったと思います」と話しました。

梶本さんは「94歳にもなる私の話を真剣に聞いてくださるお姿をみて嬉しく思った」と振り返りました。「戦争は絶対にしてほしくない。戦争をしている国は一刻も早くやめてほしい」と話すと、皇后さまから「平和は大切ですね」とお言葉があったということです。梶本さんは、「いまの平和がどれだけ幸せか。戦争のない今の平和が本当に大事。皇后さまからその言葉を聞けてうれしい」と話しました。

広島訪問2日目となる20日には、2014年に発生した広島土砂災害の被災地を訪問する予定です。