書店にも続々「ZINE」コーナー

実は、大手書店も「ZINE」に注目。

即売会で名刺を配り「店に置かせてもらいたい」と声をかけていたのは、『有隣堂』キュービックプラザ新横浜店の石田店長です。

有隣堂では、2024年9月に大阪の店舗でZINEの取り扱いを開始したところ、たちまち売り上げの約10%を維持する看板コーナーに。そこで横浜の新店舗でもZINEを置くことにしたのだといいます。

石田店⻑:
「書店の売り上げが近年減少している中で“新しいジャンルの拡大”になる」

『蔦屋書店』でも、広島店で常時約200タイトルが並ぶ専用コーナーを設置するほか、全国6店舗でZINEの取り扱いを開始。
『ジュンク堂書店』や『三省堂書店』でも取り扱いを始めています。

「出版のプロ」も趣味で参戦

「ZINE作り」に魅了されているのは一般の人だけではありません。

『新潮社』に勤める篠田奈々さん(プロモーション部・38)、長谷川麻由さん(文庫編集部・42)、楠瀬啓之さん(「波」編集長・58)。

3人は年齢も部署もバラバラですが、一緒にZINEの即売会に行った際『自分たちも作ってみたい』と意気投合。「サークル感覚の趣味」としてこれまで5冊を制作したとのことですが、仕事とは違う魅力があると話します。

長谷川さん:
“とことん自分の好きに振り切れる”。会社だと色んな会議を経てやっているが、私がいいって思ったら突き進める。それで本が出るゴールまでいける」

楠瀬さん:
「興味あるものを“もうちょっと深堀したい”。それがきれいに組まれて印刷されて紙に出てくる。noteでええやんっていう(笑)。でも、こっちのほうが満足度が高い」

自由に自分の世界を広げたい。そんな心任せな一冊が、作り手だけでなく買い手の心もつかんでいます。

(THE TIME,2025年6月12日放送より)