出版社ではなく“個人が作る”小冊子「ZINE」の人気が広がっています。SNS時代になぜアナログな冊子が流行るのか?

“超個人的”冊子「ZINE」を作る人増加

東京・台東区のビルで開かれた「ZINE」の即売会。
2つのフロアに総勢600人以上が出店し、多くの客で賑わっています。

『ZINEフェス東京』主催者:
「初開催の2021年3月には出店74組だったので、かなり人数的にも増えている」

【ZINE】とは、MAGAZINEの“ZINE”が由来で、出版社などを通さず個人で作る【新しいジャンルの小冊子】のこと。
その内容は、自分で撮った写真をまとめたものや、アルミ弁当箱を集めたもの、古代ローマ料理を研究したものまで何でもアリです。

出店者・20代女性:
「恋人ができたらやりたいことをZINEという形にした。1月に失恋した時に“自分の恋愛に憧れている感情を認めてあげるため”に作品を作りたいなと」

<サイゼの間違い探しにチャレンジだ>など、写真と文章で綴られたZINEには恋人ができたら叶えたい赤裸々な妄想がずらり。超個人的な内容ですが一冊700円。

他にも「私がマッターホルンに登った日記」だというZINEを一冊500円で販売する人も。

出店者・20代女性:
「登頂の話を友達にしたら、勇気をもらったと言ってくれる人がいて。写真と、紙に文章書いてアプリでくっつけて制作期間は2、3カ月くらい」

スマホを使って簡単に編集できるようになったり、印刷所のサービスが充実したことが「ZINE作り」をはじめる人が増えた理由。

マッターホルン登頂日記を販売する女性は、100冊作成し3万5000円ほどかかったとのことですが、元はとれるのでしょうか?

出店者・20代女性:
「元はとれないかな(笑)。“励まされたとか言ってもらえたら嬉しいな”くらいの感じなので」

たくさん売れてほしい、というわけではなく“個人的な気持ちや趣味を形にする”ことにこそ意義があるようです。

あえて「一般人の本を買う」理由

では、SNSに投稿したりすることで“形にする”のとは、何が違うのでしょうか?

小動物ZINEを販売・男性:
「アーカイブというか、“残っていくことで達成感につながる”

写真集ZINEを販売・男性:
「デジタルの情報はすぐに過ぎてしまうけど、“ZINEは手に残り続けるし温かい”

そんなZINEは、手に取る人にとっても様々な魅力があるようです。

「人の日記とか、“なんでもない日常”が面白い」(20代女性)
「あんまり表に出さない“その人の個性が見えてくる”ところがいい」(20代男性)
「一つとして同じものがないから、“唯一無二の特別感”に心惹かれた」(20代女性)