交通事故における「危険運転」の適用拡大を。娘を失った父親が悲痛な思いを語りました。
波多野暁生さんは10日、警察官など約120人を前に悲痛な思いで、危険運転の適用拡大を求めて、自身の経験を語りました。
(波多野さん)「まさか死んでしまうとは全く想像もしていませんでした」
暁生さんは5年前、東京都内にある自宅近くの横断歩道を、小学5年生だった一人娘の耀子さん(当時11)と渡っていたところ、赤信号を無視した軽ワゴン車が進入。2人ははねられました。暁生さんは意識を失い病院へ搬送。回復し目覚めると、耀子さんは帰らぬ人となっていました。
(波多野さん)「棺に入った娘は花に埋もれていました。全く受け入れられない光景でした。今でもはっきりと頭に焼き付いている」
▼「危険運転致死傷罪」での在宅起訴 裁判では「赤信号をことさら無視」かが争われる
警察は、軽ワゴン車を運転していた元・配送業の高久浩二受刑者を現行犯逮捕しましたが、容疑は刑の上限を7年とする「過失運転」でした。
青信号の横断中に命を奪われた耀子さん。何の罪もない幼い命を奪った代償としては罪が軽いと考えた暁生さんは、事故が「故意」によるものだと訴え、上限が20年となる「危険運転」での起訴を求め、検察に働きかけ続けました。
そして、検察は高久受刑者を「危険運転致死傷罪」で在宅起訴。暁生さんの思いが通じた形となりましたが、裁判では高久受刑者が「赤信号を殊更無視」したのか否かが争われました。赤信号の交差点に進入した行為が「危険運転」に当たるとされるのは、赤信号を「殊更無視」したと認められること=「故意性」が必要になります。
つまり、赤信号に気づいた場所が直前であればこれを「殊更に無視」したとは言えず、「危険運転」が認められないことになります。
▼「被害者に全く落ち度はなく、非常に理不尽」男に懲役6年6か月の判決「失われた命や喪失したものは元には戻らない」
裁判で検察側は、交差点よりも28メートル手前で気づいたと主張しましたが、弁護側は12メートル手前だと主張。双方の対立する主張に、これが認められるかが争点となりました。
そして、2022年3月22日。東京地裁で西野吾一裁判長は「被害者に全く落ち度はなく、非常に理不尽な事件」として、高久受刑者に懲役6年6か月の判決を言い渡され、確定しました。暁生さんの思いが実り、「故意」による危険運転致死傷罪が認められました。
(波多野さん)「危険運転致死傷罪とはどうなっているのか、何のためにあるのかと思いました」
事件後、「危険運転」の適用拡大を求めて、警察官などへ講演を続ける暁生さん。被害者遺族として、どうしても伝えたいことがあると話しました。
(波多野さん)「重い処罰がされたからと言って、失われた命や喪失したものは元には戻りません。しかし仇討ちが禁じられているわけで、法律の範囲で定められている範囲で最大の処罰を望まないわけにはいかない。警察の皆様には最大限の捜査を尽くして頂きたい」
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