■戦争による環境破壊は過去にも・・・

戦争が引き起こす環境への破壊的ダメージ。それは過去の例でも明らかです。

1960年代からのベトナム戦争では、アメリカ軍は、敵の活動を抑え込もうと、猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を大量に散布しました。

ベトナム戦争終結から30年ほど経った2006年。ホーチミン市内の病院では、その枯れ葉剤の影響とみられる障がいのある子どもたちが不自由な暮らしを余儀なくされていました。

医師「被害は既に3世代に及んでいます。他の国では見られない障がいのある赤ちゃんが次々と生まれています」

また1991年の湾岸戦争では、大量の原油がペルシャ湾に流出し、海洋汚染を引き起こします。

■新たな脅威“クラスター爆弾”の不発弾

戦争が終わった後も長い年月にわたって被害が続く環境汚染。そして・・・

記者「隠れて、隠れて」
記者「小さなクレーターができていますね」

住宅地のそばに残された「クラスター爆弾」の爪あと。ロシアによるウクライナ侵攻で、深刻な問題の一つになっているのが、このクラスター爆弾による「汚染」です。

クラスター爆弾が撒き散らす「子爆弾」は不発弾となって残ることが多く、地雷と同じように半永久的に人々を危険にさらします。

現在、国連が定めた「持続可能な開発目標」・SDGsでは、17の目標が設定されています。

しかし、クラスター爆弾の不発弾が数多く残るラオスでは、独自に「18番目の目標」として「不発弾の被害者削減」を加えたのです。

■戦争によって遠のくSDGsの実現

2015年、国連サミットで、ロシアを含む加盟国の全会一致で採択された「SDGs」。

実はプーチン大統領は、ウクライナ侵攻前、こう語っていました。

プーチン大統領
「ロシアは環境問題にあまり関心がないという声をよく耳にするが、それは嘘だ」
「我々はこれから世界の環境問題をリードしていきます」

そうした言葉とは裏腹に、ロシアが引き起こした戦火によって、今、この時も深刻な環境汚染が進む現実。戦争は、持続可能な世界の実現を確実に脅かしています。

(「サンデーモーニング」2022年11月6日放送より)