福岡ソフトバンクホークスは存在しなかった?
もし長嶋さんが南海に入団していたら、南海ホークスも、福岡のライオンズも消滅しなかったかもしれません。そうなると、現在、福岡の多くのファンが応援する福岡ソフトバンクホークスという球団も存在しなかったかもしれません。
もちろん、長嶋さんが巨人の選手だったからこそ、王貞治選手との「ONコンビ」を形成し、国民的スターとしての「歴史」を築いたという見方もできます。しかし私は、長嶋さんのプレースタイルやキャラクターであれば、どのチームにいても、たとえ一人でも太陽のように輝いていたはずです。
現在のプロ野球は、セ・パ交流戦の導入などもあり、かつてのようなリーグ間の人気格差は縮小しています。2024年の観客動員数の差は9.4%にまで縮まり、プロ野球全体の隆盛を感じています。こんかいの「もしも」の考察を通して、長嶋茂雄という偉大な存在が、日本のプロ野球に与えた影響の大きさを改めて感じました。
◎飯田和郎(いいだ・かずお)

1960年生まれ。毎日新聞社で記者生活をスタートし佐賀、福岡両県での勤務を経て外信部へ。北京に計2回7年間、台北に3年間、特派員として駐在した。RKB毎日放送移籍後は報道局長、解説委員長などを歴任した。2025年4月から福岡女子大学副理事長を務める