■「波が始まる前に接種の判断していれば…」医療体制にも問題が

さらに岡教授は「第7波では、医療体制にも問題が起きていた」と指摘します。

埼玉医科大学総合医療センター 岡教授:
「第7波では、医療従事者の感染者が多かったです。医師や看護師などが欠勤し、医療の受け入れ体制自体がひっ迫しました。やっぱりワクチン4回目を打ってなかったですから。患者が急増する一方で、診る人は減ってしまっている状況でした」


医療従事者への3回目のワクチン接種は、第6波のピークのおよそ2か月前、2021年の12月には始まっていました。一方で4回目の接種は、7月中旬からで、第7波が始まった後になりました。国が、4回目の接種を当初、高齢者と基礎疾患を持つ人に限定し、医療従事者には打たないと判断していたからです。その結果、第7波は多くの医療従事者がワクチンを接種していない状態で始まりました。

岡教授は「政府の判断の遅れが医療ひっ迫につながった」と指摘します。

埼玉医科大学総合医療センター 岡教授:
「7波では、重症者病床は余裕があったかも知れませんが、軽症・中等症の病床はいっぱいになりました。介護が必要な人も多く、人手が必要でしたが、医療従事者がいないため、さらなる受け入れは難しい状態でした。つまり医療崩壊が起きていたのです。医療従事者へのワクチン接種がもっと早く、波が始まる前に打つ判断をしていれば、もっと多くの患者を受け入れることができ、死者を減らすことができたのではないかと思います」


新型コロナは、持病のある高齢者や基礎疾患のある人などにとって、命を奪う可能性のある恐ろしいウイルスであることに変わりはありません。この冬にも起きるおそれのある第8波への備えとして、岡教授は「なるべく多くの人にワクチンを打って欲しい」と強調しています。

(​TBSテレビ報道局社会部 都庁担当キャップ 寺川祐介)