「繁忙期が違う」“他業種×コメ作り”に現場は

ただ、コメ作りの現場は高齢化や後継者不足など課題が山積みです。そんな中こんな会社が…
新潟県・上越市でコメ作りを行う田中産業。午前7時すぎ、作業服を着た社員が続々と出社し、朝礼が行われていました。
社員
「おはようございます」
管理・耕作するのは340ヘクタールと県内屈指の広さで、コシヒカリなど約1740トンを生産。農地は点在しているため、打ち合わせが欠かせません

社員
「ここを中心にやってもらいます。竹内さんは今ここにいますので、7、23、22、最後20で終わるようにお願いします」
農地に数字を割り振り担当社員を配置。運搬業務などの人員も決めていきます。朝礼を終えると、約40人の社員は現場へ。それぞれの水田で田植え作業が始まりました。
ただ、実はこちらの企業、主力はコメだけではないんです。
先ほどの事務所から30分ほどの所にある田中産業の採石場。「建設」「運送」も主力産業として行っていて、コメ作りはその一つなのです。
田植えを行う23歳の竹内さん。普段は建設現場で働いているといいます。

田中産業 竹内涼さん(23)
「普段走る道路だったり駐車場の舗装などをしています」
同い年の前田さんも…

田中産業 前田りりあさん(23)
「土木の現場監督、作業員に指示をして、工事を進めています」
約360人の社員のうちコメ作り専属は17人。なぜ、建設業などとコメ作りが両立できるのでしょうか?

田中産業 田中朗之常務
「建設業でいえば夏頃がピーク。運送業は年末の荷物が増える時期がピーク。冬の時期ですね、繁忙期が違うので」

コメ作りで人手が必要になるのが春から初夏の田植え。そして、秋の収穫です。一方、「建設」「運送」のピークはそれ以外の時期のため、手の空いた社員を農地に配置、多くの人員でコメ作りを行う事ができるのです。
また、建設業と農業は「親和性」があるといいます。道路の舗装などで使う作業車と、田植え機、操作性が近く運転しやすいというのです。
普段は現場監督として働く前田さんも…
田中産業 前田さん
「土木の現場では田んぼの区画整理工事があるので、実際に田んぼの作業を経験することで、役立つのかなと思います」
事業の特性をいかした大規模農場の管理ですが、一筋縄ではいかないといいます。
田中産業 田中常務
「田んぼを回るのが大変。全部回るのに1日以上かかってしまう」

管理する田んぼは、会社から離れた山の中にもあります。こちらがその水田。美しい棚田になっていますが、田中産業が所有する主力の田植え機では入ることができないのです。
それでも、担い手がいなくなった農地を引き取り、管理することが必要だといいます。
田中産業 田中常務
「『大規模』と一口でいっても難しいのかな。今後の農業をなんとか繋いでいく、将来にコメを残していくというところでは、大規模化も必要なんだろう」