日本最古の人骨が出土する沖縄。しかし約2万年前の港川人から7000年前まで、1万年以上の期間についての史料が乏しく、『歴史の空白期』となっています。
その空白期を埋める発見が期待される理由のひとつに、港川人の発見場所と、サキタリ洞との位置関係があるといいます。

山崎真治さん
「例えばここに黒いのがありますよね、これ木炭の欠片ですね。だいたい2万年前のものだと思いますけど。ここに白いものがありますけど、おそらくカタツムリですね。こういう土は土のう袋に詰めて持って帰ってふるい掛けをして、細かい遺物を回収している」
例えばモズクガニの爪など原型をとどめている遺物なども見つかり、この遺跡から2万年前の人の食事なども紐解かれていく可能性があります。
山崎真治さん
「日本でも2万年前のカニが出てくるのはここしかないですからね」

13年前にサキタリ洞の調査を始めた山崎さんたちは、仮説を裏付ける数々の発見をしてきました。1万4000年前の人骨や石器、9000年以上前の人骨、9000年前の土器、2万3000年前の世界最古の釣り針や、装飾品とみられる貝。
こうして見つかった営みの痕跡や、人骨の数々が、いずれ空白の歴史を埋めるのかもしれません。


山崎真治さん
「こういうのって(文献など)に書かれたものは当然無くて、ここから出てきたもので初めてわかる世界。だから自分たちが発掘をして、歴史に新しい1ページを加えることができる素晴らしい遺跡だと思っている」
人類のルーツとは。どんな暮らしをしていたのか、どんな文化を持っていたのか…。
沖縄本島南部、南城市「サキタリ洞」を訪ねると、人類のルーツと、ロマンが眠る大昔の地層との静かで親密な対話に出会いました。