大学進学に存在する「男女格差」「地方格差」

NPO法人 #YourChoiceProject

今年2月に発表された「大学進学におけるジェンダーギャップ白書」。サブタイトルに「平等な学びの機会確保のために」とあるように、進学の意思決定をする際に、学生を取り巻く環境に於いて、男女など性別の固定観念や偏見が与える影響について、データを基に解説した「白書」です。

まとめたのは、NPO法人の「#YourChoiceProject」です。

NPO法人 #YourChoiceProject 代表・古賀晶子さん

NPO法人 #YourChoiceProject 代表・古賀晶子さん
「私たちの団体は、始まったのが3年半前の2021年11月で、最初は東京大学の学生を中心とした学生団体として始まりました。創設者の2人が、地方出身の女子学生だったこともあり、身近でそうした地方の女子学生の進路選択が少し偏っていたりだとか、選択肢が狭くなってしまっていたりとかの現状を見ていたからこそ、何かこの課題に対して、解決のために働きかけたいというところで始めてみたのが、出発点になりました」

「#YourChoiceProject」の創設者の2人は静岡県と兵庫県の出身です。東大に於ける女子学生の割合が2割程度に止まり、また自分たちの地元で女子生徒が、他県の難関大学を受験しなかったり、浪人しなかったりという傾向があるということに疑問を抱いて、団体の活動をはじめしました。NPO法人になったのは2024年の春です。

周囲の男子学生などからは、「そんなこと今でもあるのか?」「自分の周囲だけを見ている」などと指摘や非難などされることが多く、それならばと、2023年春に全国27校の高校生3716人を対象にした調査を実施しました。全国から集まったデータを「首都圏男子」「首都圏女子」「地方男子」「地方女子」に分けて比較したということです。

「偏差値の高い大学に行くことは自分の目指す将来にとって有利だと思うか?」という設問では、1から5までの段階で尋ねてみると、「首都圏男子」「地方男子」が平均で4.4前後、「首都圏女子」も4.3を超えた一方で、「地方女子」は4.2台にとどまりました。

また志望校を選ぶ際に、「偏差値の高さ」と「合格しやすさ」では、「合格しやすさ」を重視する人の割合が、「地方女子」では50.8%となっています。「首都圏男子」の24.9%などとは、大きな差があることが明らかになりました。

NPO法人 #YourChoiceProject 代表・古賀晶子さん
「私たちの調査の中でも、まず地方の女子学生ほど、自己評価を低く見積もってしまうというのが出ていて。これは客観的な学力帯が同じであっても、例えば東京大学に行けると思うかといったら、その評価に差が出てきてしまうというものがあります。そしてまたひとつ、その自己評価っていうのが、ロールモデルが多いほど、高くなりがち、というのがあって。ロールモデルが居ないと、やはり自分なんか行けないんじゃないかみたいに思ってしまう問題があります。例えば東京大学というところを見た時に、地方女子学生の割合が7%~9%ぐらいを毎年行き来しているということがあって、地方でなかなか特に女子学生の東大生のロールモデルって見られないんですね」