別れの日 “盲導犬”引退し、新たな環境へ

この日は義眼のメンテナンス。定期的に通っている場所だ。

技師
「入れた感じはどうですか?」

浅井純子さん
「あんまりわからない。パチパチと鳴るのがなくなっている。瞬きすると空気が入って音が鳴っていたので、それがないです」

どんな時もヴィヴィッドが隣にいる、当たり前の日常が終わろうとしていた。

ヴィヴィッドが浅井さんのもとを離れる日がやってきた。

浅井純子さん
「悲しみと思うとつらいので、婿にやると思うと喜びなので、婿にやると思っている。あんまり別れるではなく、婿にやると考えている」

新しい飼い主との対面の時。

浅井純子さん
「おはようございます」

新たな飼い主 曽我幸祐さん
「曽我といいます、よろしくお願いします」

夫・茂さん
「どうですか?見た感じ?」

新たな飼い主 曽我幸祐さん
「かわいらしいですね。僕も昔、迷子犬のゴールデンを飼ったことがある。その犬の表情が忘れられなくて、もう一度飼いたいと思っていたんです」

男性は愛媛県にある自宅で、妻と娘の3人でヴィヴィッドを迎え入れる。

日本ライトハウス 山口さん
「浅井さんからは最後にお伝えすることは?」

浅井純子さん
「大切に育ててもらえれば。よろしくお願いします、わがまま息子ですけど。なあ、婿に行くねんな、ヴィヴィちゃん」

新しい環境に慣れてもらうため、1年間は会いに行かないと決めている。浅井さんは笑顔でヴィヴィッドを見送った。

浅井さんの元を離れて2か月。愛媛・大三島にヴィヴィッドの姿があった。

盲導犬を引退したヴィヴィッドはいま、この島で暮らしている。盲導犬の役目を終え、新しい環境にすっかり馴染んだ様子だ。

曽我晃子さん
「最初は玄関のほうを向いて立ち、帰りたい感じ。なんで浅井さんは来ないんだろうと」

曽我幸祐さん
「1週間後ぐらいから僕らを信頼し始めたというか、ようやく表情が和らぎました」

ーこの土地にも慣れた?

曽我幸祐さん
「そうですね、ちょっと犬に戻りつつある」