“ライフワーク” ボランティアにあふれる思い
今回の訪問では、石川県内で復興支援を続けるボランティア団体との交流が多くあった。ボランティアと言えば、愛子さまが中高生のころから関心を持ち、現在の職務内容にもあたる専門分野。愛子さまは2024年から、日本赤十字社「青少年・ボランティア課」で勤務されていて、復興支援にあたる組織への研修のほか、個人ボランティアの育成なども行っている。愛子さま自身も、泊まりがけで業務にあたられたこともあるという。
金沢大学の学生と交流した際には、「私も仕事でボランティアに携わっていますが、どういう仕組みがあれば(ボランティアが)しやすくなると感じますか」など質問。支援内容そのものだけでなく、人が集まるシステム作りを気にかけられていたのだ。
金沢大学ボランティアさぽーとステーション 間山春太郎 副代表
「すごく実務的なことを質問された。ボランティアに関心があって、どうやってご自身の業務に生かされていくのか、熱意のようなものを感じました」

また、別のボランティア受付会場でも、「“グループごとの活動”というとたとえばどんなものが?」「ご自身で作業道具をもって来られる方もいるんですか?」「冬だとカイロを用意されたりも?」など質問を投げかけられていた。
愛子さまは、勤務先に日本赤十字社を選んだことについて、2024年春、宮内庁を通じて書面で回答を寄せられた。
そこでは、「中高時代の親友が東日本大震災の復興支援に携わっていて、その友人から活動について聞いたこと」「災害ボランティアの姿をニュースで目にして胸を打たれたこと」「大学では福祉に関する授業を履修し、福祉活動への関心がさらに増したこと」などに触れられている。そして、こう続く。
「公務以外でも、様々な困難を抱えている方の力になれる仕事ができればと考えるようになり、大学卒業後は社会に出て、福祉関係の仕事に就きたいという思いを抱くようになりました。両親に相談いたしましたところ、社会のお役に立てるとても良いお仕事なのではないかと背中を押していただき、日赤でお勤めすることを希望いたしました」
父である陛下も、日赤就職について「愛子は『人のために何かできれば』という思いを以前から持っていたように思う」と述べられた。
“ライフワーク”にしてきた災害ボランティア活動。質問を重ねられていた姿から、強い関心を寄せていることが改めてうかがえた。
記者は、愛子さまの所作を2日間近くで見ていて、被災地やそこで暮らす人たちに真摯に向き合われる姿勢を感じた。優しく声をかけたり、寄り添ったりするだけではない。具体的な施策にも触れ、学んできた知識をもとに、目の前の被災者らと一生懸命に話されていた。
帰京翌日、愛子さまは疲れも見せず日赤に出勤されたという。脈々と受け継がれたバトンを手に、これからも、公私で被災地の人たちに思いを寄せ続けるだろう。
TBS 報道局社会部・宮内庁担当 岩永優樹














