岡山県内で、特殊詐欺の被害が急増しています。なかでも多いのは、「警察官をかたる詐欺」です。SNSなどを悪用し、あの手この手で金銭をだまし取る巧妙な手口に注意が必要です。

「大阪府警の警部補・田中」と記されたこちらの警察手帳。実は特殊詐欺で使われた偽物です。

こうした、警察官を装い金をだまし取ろうとする詐欺が全国で後を絶ちません。

(備前市在住の70代男性)
「後から考えたら、その時点までは信じていたというか、流れ的に相手の話に違和感はなかった」

備前市に住む70代の男性。今月(5月)1日、男性のもとに通信事業者を名乗る男から1本の電話がかかってきました。

(電話)
「大阪であなた名義の携帯電話が契約されていますが、その料金が未納です」

伝えられた額は約19万円。身に覚えのない話に男性が戸惑っていると、電話が転送され次に登場したのは、なんと「大阪府警の田中」を名乗る男でした。

取り調べのため、大阪府警に来るよう指示されましたが、すぐには行けないと伝えると、今度はSNSでのやり取りを提案されたといいます。男からは無料通信アプリで、先ほどの警察手帳が送られてきました。

(備前市在住70代男性)
「詐欺とは全然思わなかった。『そういうことには絶対かからない』という自信があった。テレビや人の話はよく聞くけど、自分のところにも来るのだなとびっくりした」

男性は妻の指摘で詐欺であることに気づき被害は免れましたが、こうした警察官をかたる詐欺は県内でも急増しています。

岡山県警によると、今年は先月末までに48件、約1億6800万円の被害が確認されていて、昨年1年間の被害額にすでに迫る勢いです。

その手口は様々ですが、
「詐欺の容疑者になっている」
「捜査のために口座の金の動きを調べる」
などと言い、指定口座へ入金させるケースが多いといいます。

(岡山県警犯罪抑止対策室長 松下一行さん)
「犯人側も被害者の不安を煽って、なんとか被害者が自分の容疑を晴らさないといけないということで相手の指示にしたがって金を振り込むという被害にあっている」

では、こうした電話がかかってきた時、どのように対応すれば良いのでしょうか。

(岡山県警犯罪抑止対策室長 松下一行さん)
「ビデオ通話などに誘導された場合は、一旦電話を切って身近な人に相談したり最寄りの警察署に相談してほしい」

岡山県警は、SNSやビデオ通話で取調べをすることはなく、捜査等の名目で金銭を要求することはないと注意を呼びかけています。

【解説】
岡山県内では今年に入り実際に被害にあったケースもあります。県南部に住む20代の男性は、「マネーロンダリングの犯人があなたのキャッシュカードを持っていた」「口座のお金の動きを調べる」などと言われ指定口座への送金を指示されました。

男性は、約700万円を振り込んでしまったということです。警察官をかたる詐欺は年代を問わず被害が出ています。十分ご注意下さい。