その記録が西宮市に残っていました。
 (西宮市交通政策課 池口昌仁係長)
 「こちらの覚書に新駅のことについて記載されています」

 太平洋戦争開戦翌年の1942年、武庫川周辺の旧瓦木村が西宮市に合併される際に、村の近くに新駅を設置するよう努めることを条件として求めていたのです。

 (西宮市交通政策課 池口昌仁係長)
 「西宮市側は元々地元からの強いご要望があって、それに尼崎市側と一緒に検討を進めてきた、というところでございます」

 しかし尼崎市は財政難で慎重な姿勢を崩さず、ここへきてようやく財政負担のめどが立ったとして、実現に向けて動き出すことになったのです。
 新しい駅舎は平行して走る線路の隙間を埋める形で設置される予定で、駐輪場や周辺道路の整備も行われる計画です。

 地元の人たちにこの新駅について話を聞きました。

 「そうなんですか。全然知らなかった。便利だと思いますよ」
 「私はあんまり影響ないですね」
 「できたらうれしいです。今は自転車で駐輪場まで来ているけれど、(新駅は)歩いて5分かからないくらいで行けるかなという感じになるんで」

 試算ではこの新駅設置で、人口が西宮市で915人、尼崎市で871人増え、税収も年間で西宮市は約2億円、尼崎市で約1.2億円増加するということです。一方で総事業費は約60億円。うち3分の1を国の補助金、残りを両市と阪急電鉄で負担する見積りです。

 (尼崎市 稲村和美市長)
 「費用対効果が見込めるというふうに尼崎市も判断するに至ることができた。阪急沿線のブランド力を名実ともに磨いていくようなプロジェクトにしていきたい」

 (西宮市 石井登志郎市長)
 「(新駅周辺は)若干開発の余地も残っている部分もございますので、そういう意味では西宮市の中で、さらにファミリー層が流入していただくというようなことを期待をしている」

 新駅の開業は10年後の2032年までを目指したいとしています。