富山大学の教授が公益財団法人から受けた研究助成金200万円を不適切に管理していたことがわかりました。大学が発表したもので、教授は助成金に未使用額があったにもかかわらず、全額使用したとする虚偽の収支報告書を財団に提出していました。

研究助成金は上限が200万円で、平成29年度から30年度にかけての2年間を対象としていました。教授は当初、この助成金の一部を研究費として使用していませんでしたが、財団には200万円を全額使用したとする虚偽の報告を行っていました。実際に使用された研究費は150万円で、その内訳は主に試薬や研究機材の購入費、旅費などでした。
その後、助成金全額(200万円)が財団に返金されたため、私的流用には至らなかったとされています。
大学側は、本件の背景には研究者の倫理観や規範意識の不足、および助成金の管理・報告手続きにおける確認体制の不十分さがあったとしています。再発防止策として、全教職員へのコンプライアンス教育の徹底を図るとともに、助成金等の管理体制や報告手続きを見直し、確認体制を強化したとのことです。

また、今回の事案を受けて全学調査を実施した結果、他に研究費不正に該当する事例は確認されなかったとしています。
富山大学は、この教授に対し、今年4月24日付けで「譴責」の懲戒処分を行いました。富山大学長は「本学の研究活動に対する信頼を損ねる事案が発生し、心よりお詫び申し上げます。研究助成金は、研究活動を支える大変重要な資金であり、それらを適切に執行・管理し、その成果を報告・公表することは、本学の責務です」と述べたうえで、助成金をはじめとした研究費等の管理体制を改めて見直すとともに、教職員に対する教育・指導を徹底し、再発防止に努める方針を示しました。
