再開発の波を受けて苦渋の決断

新開さんは、ビルの建て替えを知ってからも、この地で店を続けられないか模索していました。

「もう土地がないです。建物がないです。そして、土地も高いし、空き土地もないしね。」

移転先を探して奔走した末、断腸の思いで決断した閉店。

「今、天神はビッグバンとかいってバケモンのようなビルが建っていますけど『博多の街は昔の文化と歴史を残したような街づくりをしていただきたい』っていうのが地域の皆さんの思いじゃないでしょうかね。私もその一味ですけど。」

そう話す表情は努めて笑顔でしたが、寂しさと戸惑いが滲んでいました。

「天神ビッグバン」に「博多コネクティッド」と銘打って、近年福岡市が進める大規模再開発。

その勢いに期待感を持ち恩恵を受ける一方で、地価の急激な上昇や全国展開のチェーン店の新規出店などにより、もともとの住人の暮らしや営みが静かに圧迫されている側面もある・・・。

シャポーの閉店は、一つの喫茶店の閉店ではなく、地域コミュニティの維持や後世に残したい文化の伝承の難しさなど、天神と博多駅の狭間にあるこの地域が直面する課題を浮きりにしているように感じました。