水道基本料金の無償化 他の自治体は?
藤森祥平キャスター:
本格的な熱中症対策が必要になる時期を迎えました。

東京都で、“4か月間の無償化”が検討されているのは「基本料金」の部分です。

東京都によると、家庭向けの基本料金は給水管の太さにより、1か月860円・1170円・1460円と3種類があって、主流は1170円のものだそうです。
無償化を行う理由として都は、水道料金の負担を減らし、エアコンの利用を促す猛暑対策だと説明しています。関連経費は368億円(見込み)だということです。
小説家 真山仁さん:
この措置は太っ腹ですね。
東京都の予算に余裕があるからですが、全国的に上下水道の費用は赤字が続いている中、その(上下水道)対策も考えつつ、これだけ負担しても大丈夫だというのはインパクトもあります。他の自治体からすると、いろいろ思うことはあるでしょう。

藤森キャスター:
埼玉県の大野元裕知事は「東京都の財力があって初めてできる政策。国が一律に実施すべき」と指摘しています。
埼玉県によると、水道管の老朽化などで2024年4月以降に水道料金を値上げしたのは、和光市や戸田市などの計10市町に上っていて、来年度以降は川口市でも約22%の値上げを検討しているということです。
今年1月の八潮市での道路陥没事故も、(水道管の)老朽化が原因とみられています。
小川彩佳キャスター:
高校授業料の無償化もそうですが、行政サービスに差が出てしまうという懸念もあります。

小説家 真山さん:
これを差と考えるのか、自治体が競争時代に入ったと考えるのかだと思います。
私は自治体にもっと色があるべきだと考えます。つまり「うちの自治体は育児にすごく力を入れているが、水道代は高い」であったり、「水道を安くする代わりに、子どもの支援はできません」のようにすれば、ニーズによって自治体を移動することができます。これらをすべて国がカバーするのであれば、地方自治体は必要ありません。
限られたお金で、どう知恵を絞るかを考えることが一番大事で、本当はやらなくてはいけないことです。
命に関わる問題であれば国の用意している予算もありますが、国に「何とかしてくれ」という首長は失格だと考えたほうがよいでしょう。そうしないと、人口が消滅する前に自治体が消滅すると思います。
小川キャスター:
猛暑対策は命に関わる問題ではありますよね。
小説家 真山さん:
猛暑対策ができないほど各自治体の生活が困窮しているのであれば、考えなくてはいけません。
逆に東京は、家賃や平均的に物価が高いという別の問題があります。さらに、これから高齢化社会になれば、人口の多いところが大変になります。「損している」という発想よりも「得は何か」を考えてほしいと思います。