■1平方メートル10人以上の密度で発生する「群集雪崩」か 実験では約100キロの圧力がかかった可能性も

今回の事故は、身動きがとれないほど人が密集し、次々と転倒する「群集雪崩」が起きた可能性もあると指摘する声もあります。
なぜ、今回の現場で多くの人が犠牲になったのか。専門家は…

大阪工業大学 吉村英祐 特任教授
「高密度な状態でないと起きないので、まず間違いなく群集雪崩だったと思う。幅が狭い。傾斜もある。本当の雪崩のように一方向に倒れていったのでは」

1平方メートルあたり、14人の過密状態を再現した実験です。
1平方メートルは電話ボックスとほぼ同じ広さ。実験は2倍の広さに28人で行われました。

実験に参加したのは男子大学生。そのうち3分の1の学生が呼吸困難の症状が出たといいます。1人あたりに、約100キロの圧力がかかった可能性があります。

大阪工業大学 吉村英祐 特任教授
「まったく身動きとれません。顔も動かせないと危険を通り越して、命を落とす可能性が出てくる」

別の専門家は、「群集雪崩」が起きるメカニズムについて…

東京大学大学院 廣井悠 教授
1平方メートル10人以上の密度で発生することが多い。多くの人が密集すると群集内でもたれる、つまり人に寄りかかって空中に浮くような状態になる。非常に強い力で圧迫されて、呼吸困難になったりとか、気絶したり失神したりする。その方が倒れ込んだりうずくまったり、その瞬間に四方八方に折り重なることで円形状もしくは楕円形状に広がる」

では、密集した状況での事故を防ぐにはどうしたらいいのか。

大阪工業大学 吉村英祐 特任教授
「絶対一方通行にすべき。群集同士がぶつかるのは非常に危険。ひとつの目安は1平方メートルあたり5人。エレベーターの定員に近い密度。これを超えそうだったら回避する。『まだいける』と深入りすると戻れなくなる」

■2017年のハロウィーンは一方通行に規制されるも今回は警察の安全管理担当者なし

3年ぶりにコロナの規制が緩和されたなかで起きた事故。

韓国メディアからは、安全対策が不十分だったとの批判が上がっています。

韓国YTNの報道
「多くの人が集まると予想されたのに、(自治体から)派遣された人員は30名あまりでした。それもコロナ対策や違法行為の取り締まりにあてられ、安全管理担当はいなかったことが分かりました」

2017年のハロウィーンに撮影されたメイン通りの映像。
事故が起きた路地につながる人通りが多い道です。

山本キャスター
「2017年の5年前のハロウィーンは、手前から奥への流れで一方通行に規制されていたといいます」

撮影した人によりますと、画面奥に向かって一方通行になっていたといいます。ほとんどの人の後頭部が写っていることからも、その様子が分かります。

さらに、事故が起きた路地はメイン通りと車道の双方から通行禁止になっていたといいます。

しかし、2022年は規制がなく、多くの人がこの路地に集中したのです。

3年前に梨泰院のハロウィーン参加した人
「3年前にハロウィーンに来たときは警察がいましたが、今回はコントロールされておらず、全く(警官を)見ませんでした。だからとてもショックでした」

31日の会見では…

ーーなぜ事故対策に関する人員が少なかったのか

韓国・警察庁
「該当地域で予想される違法行為を取り締まり、犯罪を防ぐために人員を配置したまでです」

警察は交通規制より、犯罪防止と取り締まりに力を入れていたと釈明しました。