出産費用 熊本県38万8000円、東京62万5000円 地域差も

藤森祥平キャスター:
今回検討されている出産費用の無償化の方法として、以下の2つが挙げられています。
・出産育児一時金50万円(現在)を増額する
・保険適用、自己負担なし

出産費用の平均(正常分娩)は年々増加しており、出産一時金も2023年に42万円から50万円に上がりました。

ただこうした中で、一時金の増額に伴い、病院側が値上げをしていると批判的な声も上がっているのは事実です。

2023年度時点の出産費用(正常分娩)の全国平均は50万6000円で、一番低いのが熊本県の38万8000円、東京は62万5000円と、地域でかなり費用に差がひらいています。

これを保険適用にした場合、診療報酬として全国一律の金額になります。

小川彩佳キャスター:
宋さんは、出産費用の無償化についてはどのようにお考えですか。

産婦人科医 宋美玄さん:
物価高で若い世代も余裕がないので、産む権利を考えると、無償化して国が保障することはすごくよいことだと思います。

無償化の方法は、出産一時金の増額か保険適用になりますが、保険適用は多くの周産期医療関係者がとても懸念しています。保険適用になると、全国一律の公定価格のようになり、他の診療報酬を見ていても値上げはほとんど起こりません。現在、出産する女性はどんどんと減少し、出生数も毎年減少していて、これは今後も続いていきます。

価格が変わらずに産む人が減少していった場合、医療機関は採算が取れなくなり、分娩をやめたり、現在のような24時間の手厚い医療体制を組めなくなったりする可能性があります。

日本は先進国の中でも出産がとても安全で、これが皆さん当たり前だと思ってるかもしれませんが、空白地帯が出たり危険な医療体制しか保てなくなるかもしれない懸念があります。

小川キャスター:
それは本末転倒になってしまいそうですよね。

産婦人科医 宋美玄さん:
今は当たり前のように、安全に出産ができますが、この安全性がなくなったらますます子どもを出産する人は減ってしまうと思います。安全な出産が保てるような医療制度にしてほしいと思います。