産科医「一時金増額の方が適している」 なぜ?

小川キャスター:
出産の際の費用の負担を軽減を考えると、どういった形が望ましいのでしょうか。

産婦人科医 宋美玄さん:
一時金の増額の方が適していると思います。これから出産が減ったり、物価が上がったりする中で、医療機関がある程度自由に、産む人もそれを選び出産をする今の状態を、より国が補填していくことが望ましい形かなと思います。

トラウデン直美さん:
ただ、医療機関の方も大変なわけですよね。その場合、一時金が増額したとしても、出産する人が減っているから一人ひとりの単価を上げければ採算が取れないとなると、結局産む側の負担は減らない、むしろ増えてしまうのではないかと思います。

産婦人科医 宋美玄さん:
前回、出産一時金が42万から50万円に上がったときは、それ以上に出産の数が減少しているので、国の出費は減っていました。

一時金は値上げに吸収されてしまい、結局、出産する人の手元には残りませんでした。今度増額する場合は、きっちりと試算して、集約化や効率化、分娩数の減少や経費の増額なども全部試算して、何%ぐらい上げる必要があるのか、そしてそれを上回りちゃんと手元に残るような額を増額しないと懸念は拭えないと思います。

トラウデン直美さん:
出産することは国全体の今後に関わることだと思うので、例え出産する人が減少したとしても、産婦人科が生き残れるような病院側へのフォローも何か必要ではないかと思います。

産婦人科医 宋美玄さん:
そうですね。やはり出産できない地域が増えていくと、そこに若い夫婦は住まないので、結局その地域が終わってしまうことになります。国民一人ひとりの子どもをもつ権利も保たれないので、ある程度国がインフラとして維持してもらわないと困るかなと思います。

小川キャスター:
無償化されれば出産の際に助かると感じられる方はもちろん多いと思いますが、実際これによって子どもを産もうという少子化対策になるのかというと、どうなのだろうかと思ってしまいます。

産婦人科医 宋美玄さん:
少子化の原因は、分娩費が高いからではないので、無償化されることで出産するという人は少ないと思いますが、安全に産む権利を国が担保するという意味では、無償化の中でもしっかりとした制度設計が求められていると思います。

藤森キャスター:
早ければ、2026年度を目指して無償化の実現化を図ろうという動きだそうです。

==========
<プロフィール>
宋美玄さん
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信

トラウデン直美さん
環境問題やSDGsについて積極的に発信
趣味は乗馬・園芸・旅行