「こんなに貴重になるとは…」「暗黒時代」小麦農家が再びコメ生産

滋賀県の「イカリファーム」では90ヘクタールの小麦を生産しており、今、小麦の注文が増えているといいます。
イカリファーム 井狩篤士 代表(47)
「米価も高いですから、パンが求めやすいということで動いている。ふるさと納税でも出るし、パン屋も買ってくれるし、ナンとかピザとか。たくさんオーダーはいただいてますね」
井狩さんはコメ農家でしたが、10年前から小麦や大豆の作付けを本格的に増やしてきました。

イカリファーム 井狩篤士 代表
「お米部門は完全にトントンか、販売管理費まで入れると赤字でした。なので我々は小麦・大豆とか、コメより収益が稼げる方にシフトしていった」
コメの価格が低迷する中、小麦の収益は安定。井狩さんの場合、小麦は国の交付金などを含めると、コメの10倍近くの利益が出たといいます。
そのため、小麦を主力とし、自社の小麦を使ったパスタやビールの販売などにも力を入れてきました。
しかし、「令和の米騒動」と呼ばれた2024年はコメの価格が上昇。小麦だけでなく、コメでも稼げるようになりました。

イカリファーム 井狩篤士 代表
「こんなに貴重になるとは思わなかったですね。コメを作っているのに自分で食べるコメはない。本当に暗黒時代というか、いま頑張って農業されている方はよく耐え忍んだというのが正直な感覚」

2025年はコメの作付けを2024年より東京ドーム5個分ほど増やし、小麦より広い120ヘクタールにしています。
イカリファーム 井狩篤士 代表
「今は米価がここまで上がっちゃったので、麦・大豆よりもコメの方が収益が高いけど、市場に飽和しちゃうと値段が一気に暴落しちゃう。それで今までコメ農家は本当に大変な目にあってきた。中長期にわたって大変な目にあってきた。生産者も嬉しい、消費者も嬉しい金額や需給の調整を、ちゃんとキープし続けられるというのを求めているし、そうあるべき」