■ザポリージャ原発付近で準備?

その汚い爆弾をめぐって今、ウクライナで気がかりな場所があります。ロシア軍とウクライナ軍がせめぎあっている地域にある、ザポリージャ原発です。ロシア国防省は10月24日、汚い爆弾が使われた場合に、放射性物質がポーランドにまでも到達するというシミュレーションを公表していますが、その汚染範囲の予測図は、なぜか、ザポリージャ原発付近を起点として、広がっているようにみえます。
一方、ウクライナ側は、ザポリージャ原発にある使用済み核燃料の貯蔵施設近くで、ロシア軍が工事をしていると発表。「放射性廃棄物を利用したテロ行為をロシア側が準備しているのでは」との見方を示しています。また欧米の間でも、ロシア側が「汚い爆弾」を使うことへの懸念が高まっています。
■ロシア側の狙いは?

ロシアが実際に「汚い爆弾」を使用する危険は高まっているのでしょうか。東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠専任講師は、現時点で使われる可能性は低いとしたうえで、「汚い爆弾は実際に使うよりも“使われるかもしれない”という疑心暗鬼の状況を作り出すところに最大の効果がある」と指摘します。
今のところ心理戦の一環という見方ですが、万が一にもロシアが使うことがないよう、国際社会は警戒を続ける必要があります。
(「サンデーモーニング」2022年10月30日放送より)