“日本車を逆輸入”にアメリカが関心

そして、日本にはどのような影響が出てくるのか、日米交渉はどのような決着をつけるのでしょうか。

ポイントの一つである、自動車関税について見ていきます。

現在、アメリカに輸入される自動車に関しては、一律25%の追加関税が課せられています。

8日、初の合意になったアメリカとイギリスの関税交渉では、「イギリスで生産された自動車については、年間で10万台までは関税を10%に引き下げる」ということになりました。

日本もどこまで関税を引き下げることができるのでしょうか。およそ日本は137万台をアメリカに輸出しています。

星浩さん:
イギリスの実際の自動車の輸出は、実は10万台に達していません。そのため、全てが10%の追加関税で輸出することができます。しかし、日本の約137万台の全てを10%に引き下げることは、さすがにトランプ大統領は認めないでしょう。

特に、自動車生産をおこなっているミシガン州などをはじめとするラストベルトは、トランプ大統領の支持の地盤となってるところなので、そう簡単には認められないと思います。

そこで日本政府が考え出した秘策があります。

「トヨタ」や「ホンダ」といった日本メーカーは、アメリカ国内で多くの自動車を生産しています。生産しているのは、左ハンドルの自動車ですが、一部で右ハンドルの車を生産し、それを日本に逆輸入するという案が浮上しています。

この案に、アメリカ側も非常に関心を持っています。

アメリカで生産している自動車になるので、貿易統計上は、アメリカの貿易赤字が減ることになります。その場合、トランプ大統領が問題視しているアメリカの赤字が減ります。

これにはアメリカ側も関心を持っていますが、最終的にトランプ大統領がこの程度の話で納得するのかどうか、微妙なところだと思います。

藤森キャスター:
日本にとってマイナスにはならないのでしょうか。

星浩さん:
日本にとっては、逆輸入を行うことを条件にして、関税を10%に引き下げてもらうことができればよいのですが、石破総理は、「10%も駄目だ、0%にして欲しい」と言っています。なかなかそこまでは難しいと思います。参議院選挙の前までに10%で合意することは、日本において自動車産業は非常に影響が大きいので、実際には難しいでしょう。

藤森キャスター:
日米双方が満足できる結果は簡単には得られないということですね。

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<プロフィール>
星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年