川漁の達人から様々な漁法を学べる体験講座が10日と11日、高知県四万十市西土佐で開かれました。講座には高校生も参加。参加者たちは、川漁を通じて人と川とのつながりを感じていました。
四万十市西土佐の藤ノ川地区。四万十川に注ぐ支流「藤ノ川」が流れる自然豊かな場所です。

川漁師養成講座は四万十川の清流保全と流域の振興を図る四万十川財団が行っていて2025年で5回目です。今回は、県内外から9人が参加。釣り針に餌をつけて一晩川に沈め、翌朝引き上げるウナギの延縄漁を学びます。

魚の種類や漁法、マナー、仕掛けの作り方などを学んだ参加者たちは、さっそく実践に移ります。

講師は「リバーマスター」の武内幸男さん。子どもの頃から60年以上、川漁をしてきた「リバーマスター」です。武内さんの延縄は6m程の縄の先端につけたゴムチューブに石のおもりをつけ、そこからおよそ50cm、150cmのところに釣り針をつけます。

座学で学んだはずの「外掛け結び」ですがそう簡単にはできません。武内さんのアドバイスを受けて仕掛けを完成させました。

仕掛けに使うエサも参加者自らが、調達。手作りの竹竿にミミズをつけて、ハヤ(カワムツ)を狙います。

一時間ほどかけて必要な量のエサを調達し、漁の準備が整いました。延縄を仕掛ける場所は川を知り尽くした武内さんが選んだとっておきの場所。
「狙いは流れと流れの間、石の下がったところが回りようろ(反転流が)。ああいうところがええがですね」


アドバイスを受けながら参加者一人につき2本の延縄を仕掛けていきます。
(ディレクター)
「Q.このポイントって去年とれたところらしいですけど」
(参加者)
「期待ですね!もう明日は白焼きしかないでしょう!」

最後の仕掛けは大阪出身で、この春から中村高校西土佐分校に通い始めた小椋隼人さんが沈めました。

「今年もバリバリ獲るのがテーマです。バリバリ獲るぞー!」

(中村高校西土佐分校 小椋隼人さん)
「ちょっと楽しみですね。獲れていたら、みんなで楽しく食べられたらいいと思います」

(参加者)
「明日はほんまにバリバリうなぎを獲って、しっかりバリバリ食べたいと思います」

期待に胸をふくらませ、翌朝を迎えた塾生たち。早速延縄を仕掛けた場所に向かいます。仕掛けを引き上げていきますが残念ながらウナギの姿は見えません…。次のポイントでも…。

「あっ、もう軽い、もう軽い」

武内さんによると前々日にまとまった雨が降って川が増水していたため難しいコンディションだったと言います。上流の仕掛けの回収に向かいます。高校生の小椋さんが仕掛けを引き上げると…。


達人・武内さんも「あまりお目にかかれない」という大きなウナギが飛び出しました!輝く笑顔の小椋さんに仲間からは万歳三唱が。


(小椋さん)
「最初はかかってないかなと普通に巻いてきて、一個目が(針が)ダメやったんでもういないなと思っていたらいきなりググってものすごい力で引っ張られて」

(リバーマスター 武内さん)
「今日はゼロかと思って心配しよった。(増水で)水のコンデションが悪かったけんね」

全員で18本の延縄を仕掛け獲れたのは、この一匹だけでした。

バーベキューコンロいっぱいに広がるウナギ。重さは700グラムもありました。漁をするだけではなく実際に食すまでを学ぶのがこの講座。ウナギの香ばしい匂いが漂います。

(参加者)
「たまらんですね。めちゃめちゃうまいっす、ほんま」

(参加者)
「うーん、バリバリ食ったどー!」

(中村高校西土佐分校 小椋隼人さん)
「獲りたいです。今度は学校の前に川が流れているので、そこで獲ってみたいです」

(四万十川財団 中平光高さん)
「人と川とのつながりが徐々に薄れていっているので、講座を通して、まずは川って楽しいんだよってことを体で感じてもらって、いずれは塾生の人たちがリバーマスターにどんどん成長していってほしいなと思っています」
