「トランプ関税」をめぐり世界が大きく揺れています。この国難にどう立ち向かうべきか。長い外務大臣、そして総理大臣と外交に精通し、5月初旬には総理特使として東南アジアを訪問した岸田前総理にききます。(聞き手:TBSテレビ政治担当解説委員 石塚博久)

「中国に惑わされてはいけない」

ーートランプ関税のなか、中国の習近平国家主席が4月に東南アジアを次々と訪問しましたが、アメリカの隙間に入ろうという狙いなのでしょうか。インドネシア・マレーシアを周ってみてどう感じられましたか。

自民党 岸田文雄 前総理:
アメリカが開けた穴を中国が埋めようとしている。しかし、この中国自体も自由貿易の旗手だと自負はしていますが、中身は自分の国中心で、自分の国内事情から過剰生産した製品を相手国にドーンと輸出して、そして相手の経済を混乱させてきた。こういったことを続けてきたわけです。

アメリカが開けた穴を、中国が埋めるなんてことになりますと、これはまた大変なことになりますよと。だから自由貿易の旗手と言っているこの中国の姿勢、事実と違うナラティブ(物語)を一生懸命訴えている中国に惑わされてはいけないと。この点もしっかりとこの意見交換の中で訴えてきました