巷間の噂になっている「2027年問題」とは、住宅などで使われている蛍光灯が2年半後に製造禁止になることで、起きる問題です。長年、私たちの生活を明るく灯してくれた蛍光灯が、なぜ製造禁止になるのでしょうか。

背景にあるのは環境問題です。

蛍光灯には水銀がわずかに使用されています。

水銀が人の健康を害することは広く知れれているところです。そのため、水銀被害ゼロを目指し、おととし開かれた 「水俣条約」の締約国会議で、2027年末での蛍光灯の製造と輸出入の禁止が決まったのです。

記者「蛍光灯が消える2027年問題をどれだけ知っているのか、街の人に聞きたいと思います」

20代 会社員「知らないです。初めて聞きました」
50代 会社員「家の蛍光灯?家は正直考えたことない」
買い替えの準備は?――
60代 主婦「全然。知らなかったので・・・え?どうしたらいいんですか?」
30代 理学療法士「ほとんど蛍光灯はない。電気代、長く使えることを考えてLEDに」

熊本市内で100人に聞いたところ、認知度は3割程度で、まだまだ知らない人が多いようです。

では、蛍光灯はどんな場所に設置されているのでしょうか。電気工事士の中川さんに教えてもらいました。

熊本県電気工事業工業組合 中川翔太さん「こちらも実は蛍光灯となっています」

中川さんがまず指摘したのが階段の足元です。よく見ると蛍光灯が・・・。次に向かったのは子ども部屋です。カバーを外すと、ここには丸形の蛍光灯がありました。さらにこんなところにも・・・。

県電気工事業工業組合 中川翔太さん「こういった廊下の間接照明にも蛍光灯が使われています。(隠れた場所から蛍光灯を取り外し)こちらですね、蛍光灯」

築20年に満たない比較的新しい家でも多くの蛍光灯が使われていました。

事業所も注意が必要です。こちらの美容室ではキッズルームや椅子の上の天井に蛍光灯が・・・

日本照明工業会によりますと、既存の照明のLED化率は約6割で、流し台や玄関などまだ多くの場所で蛍光灯が使われていることから、家電量販店では対応を進めています。

ビックカメラアミュプラザくまもと店 荒木修主任「現時点ではまだ蛍光灯の在庫があるが、先々はなくなると予想して、ご案内している」

蛍光灯の販売コーナーは以前の8割程度に縮小し、寿命の長さや消費電力の少なさなど、LEDのメリットを強調して買い替えを促しています。

ビックカメラアミュプラザくまもと店 荒木修主任「蛍光灯に 書かれた型番の写真もしくは商品を持ち込んでもらうと、我々で対処法のご紹介、提案が可能です。1年後に蛍光灯の供給が急に終わる可能性もあるので、早めに検討してほしい」

街の電気店も大忙しです。

電気プラザほんだ 坂本研治さん「LEDへの交換件数は倍くらいに」

坂本さんによると、最近の物価高騰もあり、蛍光灯もLEDも値上がり傾向にあるため、早めの交換がおすすめとのことです。ただ、蛍光灯をLEDに替える際には注意が必要です。

電気プラザほんだ 坂本研治さん「器具とランプが適合したものを交換しないと事故が起きるリスクが高まる」

取り付け手順や工事が必要かを確認せずに交換すると、思わぬ事故にもつながります。注意事項を守らずに交換すると照明器具やランプ内の部品が異常過熱して発煙 や発火につながる恐れがあります。

2027年問題が刻々と迫る中、対応に苦慮しているのが、不動産管理会社です。

マンションやアパートの共用部分には多くの蛍光灯が残されていますが、こちらの会社が管理する約900棟のLED化はまだ4割程度で、その理由は工事費です。初期投資が高く、LED化を躊躇するオーナーもいるといいます。

熊本ファシリティ 久保健司社長「LED化が入居率アップにつながるか、実際は効果が薄い。投資するならインターネット無料や宅配ボックスを導入した方が入居率が上がる」

とは言え、2年半後に蛍光灯の製造や輸入が禁止され、流通しなくなれば、LED化の工事待ちが起きることも予想されるため、先延ばしには大きなリスクが伴います。

熊本ファシリティ 久保健司社長「電球が切れれば入居者に迷惑をかけてしまうし、足元が暗いところを歩いて、つまづいたらオーナーのリスクでもある。早めのLED化を推奨していく」

待ったなしの2027年問題。早めのチェックと計画的な切り替えが、明るい未来につながるかもしれません。

照明の寿命は長いので2年前の今から考えなくてはならないということです。蛍光灯の種類は大きく4種類あるということです。家の間取りを見ると、それぞれありそうだなと分かります。