◇《戦争に求めた“平等”…そして戦意高揚に利用された民族》

アイヌの近現代思想史を研究する国立民族学博物館のマーク・ウィンチェスター助教は“戦争に平等”を求めて、奮闘したアイヌ民族も多数いたのではないかと指摘します。
国立民族学博物館 マーク・ウィンチェスター助教
「北海道の植民地化によって被ってきた不利な部分を、自分たちが徴兵されることによって、やっと平等な日本国民、やっと平等な位置に立てると…」

とはいえ、容姿をからかう見世物扱いや、狩猟のスキルがあることを理由に、銃弾が飛び交う戦場の最前線に送り込まれるような、不条理な配置もあったと話します。
国立民族学博物館 マーク・ウィンチェスター助教
「平等でありながら『建前上の平等』…と言っていいのか、ちょっとわからないが、別扱いをされるというようなことが、実際にその戦争の場においても起こる」
当時、国は旧土人保護法により、アイヌの和人化を進める政策を打ち出していました。しかし、戦争が始まると、政府の姿勢は一転して、少数民族の活躍と囃し立て、アイヌ兵を英雄扱いするなど、都合よく戦意高揚に使ったと言います。
