地方で急増する空き家問題。古い町並みに点在する空き家を若い力で観光資源に生まれ変わらせる試みを取材しました。

長野県の中央に位置する。人口およそ5500人の長和町。四季折々の豊かな自然に恵まれ、歌川広重が描いた宿場町は400年以上の伝統を誇りますが…

記者
「宿場の通り歩いていますと、このように壁が崩れた空き家が目立ちます」

人がいなくなった空き家も多く、昼間でも人影はまばら。

全国の空き家数は少子高齢化や東京一極集中の影響で30年で倍増。特に地方では、空き家の活用が課題となっています。

町の空き家。こちらは町の地域おこし協力隊員の高田傑さんです。

長和町・地域おこし協力隊 髙田傑さん
「1棟貸しのサウナみたいな形で、今年10月にオープンできたらなと」

一緒に空き家のリノベーションを行うのは大学生たち。窓枠に合わせて飛び出た木材を切断したり、新たな壁板を設置したり、初めての大工作業に悪戦苦闘しますが…

大学4年生
「もともと空き家自体に興味があって、貴重な体験ができている」

実は彼らは、長野大学で観光やまちづくりを学ぶ学生。地域社会の大切な観光資源、宿場町の保全に興味を持ち、2年前、まずは有志で活動が始まりました。

長野大学3年生
「一番感動したのは、床張り終わった時、おお!家っぽい、建物っぽいなって」

去年からゼミの単位にも認定された、宿場町を守る空き家のリノベーション。

近くの住民
「いいよね賑やかなのは、来てもらって」

長和町 羽田健一郎 町長
「新しい感覚で物事考えてくれますから、若いみなさんは」

空き家を公費で解体するのではなく、自治体と大学が連携して、歴史的な町並みを保存する試み。すでに成果もでています。

こちらは去年、学生たちがリノベーションした築164年の古民家。

長和町・地域おこし協力隊 髙田傑さん
「先週もフランスの方にお泊まりいただいて」

1泊1万円前後の宿泊施設に生まれ変わり、先月オープン。

長和町・地域おこし協力隊 髙田傑さん
「DIYを通して地域交流とか関係人口、交流人口が生まれる。人と人のつながりが地域おこしや地方創生、まちづくりのすごく大きなキーポイントになる」

地域おこし協力隊の任期はきのうまででしたが、空き家に悩む他の地域にも取り組みを広げていきます。