米の価格高騰の影響でしょうか。「日本の棚田百選」に選ばれた長崎市の大中尾棚田で行われている「棚田オーナー制度」に、今年は定員を大幅に超える応募があり、募集の締め切りを早める事態となっています。

長崎市外海地区の「大中尾棚田」では、20年以上前から「棚田オーナー制度」を取り入れ、シーズン毎に1組3万円で田んぼのオーナーを募集しています。

定員は60組で、オーナーは自身の田んぼで田植えや稲刈り、脱穀を体験することができ、収穫後には米30キロと地域の特産品が自宅に届けられることになっています。

大中尾棚田保全組合の松岡信道さんによると、例年は定員に届くか届かないか程度の応募状況でしたが、今年は3月の募集開始から申し込みが相次ぎ、4月30日までだった締め切りを10日ほど早める事態になっていて、応募総数は定員の1.5倍にあたる約90組に上ったということです。
松岡さんは「これほどの応募があったのはオーナー制度開始以来初めて」と話しています。

その一方で、1組3万円で米30キロという現在の設定では、昨今の物価高騰を受けて苗や肥料の購入代、田植えなどの際の弁当代、それに指導員の人件費などを差し引くと採算が合わなくなる可能性があるということです。

大中尾棚田保全組合の尾崎正博会長は「応募が増えたのは米の価格高騰の影響があると考えている」「来年以降は参加費やお届けする米の量を見直す必要がありそう」と話しています。