年末年始の「山」を予測したデータ

―――全国の新規感染者数、第8波に向けてどうなっていくのか。名古屋工業大学のデータによりますと、東京都の新規陽性者数の増加予測は、三つの行動パターンに分けて、年明け頃に小さい山になりそうだという予測ですが、行動が全体的に増加した場合でも、第7波の2分の1以下にとどまるのではないかといいます。ただしこれは、新たな変異株の流行などは考慮していないグラフだということです。
三つのシナリオがあると思います。一つ目のシナリオがそのデータで、今のBA.5が残ってますので、これに免疫がない人が感染していくと、行動制限がかからない場合山を作っていきます。
ただ、先ほどのいわゆるグリフォンにしても、新しい亜種が入ってくると感染力が強い方が取って代わりますので、山が高くなります。さらに怖いのは、今は海外からの流入が始まっています。もし、全く違う変異株が入ると、山は当然第7波より高くなります。
―――ワクチン接種は、今まで5ヶ月間隔を空けていたのが3ヶ月になるということなので、そうすると1年間に4回ワクチン接種をするということにもなりますし、どういうふうに捉えたらいいんですか。
まず、これまでの5ヶ月というのは我々専門家から言うと、長すぎます。オミクロンの特性は、免疫逃避なんです。抗体がついてもすぐに落ちてしまうということですので、接種回数を増やさなければならないというところにありました。ですから、3ヶ月でもまだ長いぐらいというふうに我々は思っております。「ケルベロス」や「グリフォン」そのものに全く対応しているわけではないんですが、当然ワクチンはオミクロン対応ですから、オミクロン派生株でも有効性はあります。
―――宮下教授は「第8波は既に準備段階だと考えられる。多くの要因がある」という指摘を見ていきますと①オミクロンは変異を繰り返すスピードが速い②免疫ができにくく再感染の間隔が短い③ワクチン効果も短い④気温が低下して呼吸器系のウイルスがまん延しやすい⑤寒いと換気が不十分⑥水際対策が大きく緩和⑦社会経済活動の活発化 が挙げられています。
我々の病院でもやっぱり約3週間で再感染する人を見てきていますので、やっぱり免疫が長続きしない。ワクチンでもやっぱり長続きしないというのが今困ったところですね。さらにBA.5では、味覚・嗅覚障害が上がったり「咽頭痛」がBA.1ではすごく強かったのが、むしろBA.5だと、一番多いのが「咳が長引く」とかそういうふうにやっぱり症状はやっぱり異なってきます。呼吸器系のウイルスは冬に流行しやすい。去年末、一昨年の年末もイベントがあるときに流行してしまう特徴があります。
―――宮下教授からもう一つご提案です「脱マスクの議論より、マスクをつけるタイミングの周知を」ということですが。
重要なのはどうしたら感染をするか。例えばアメリカ、外の風景でみんなマスクをしていません。あれは正しいです。なぜかというと、感染は会話によって起こるわけですから、会話をしなければ感染しないわけです。距離がちゃんと保たれていて会話がなければマスクをする必要は私はないと考えております。
―――ありがとうございました。正しい情報を知って、それに対応するということが大切かもしれません。
(2022年10月24日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)