知人女性の家に不正に侵入したとして、住居侵入などの罪に問われている元中学校教員の男(66)の裁判。校長も務めたことのある男は、なぜ犯行に及んだのか。検察は「女性に対するゆがんだ性欲や大きな執着があった」と指摘しました。
住居侵入と住居侵入未遂の罪に問われているのは、山口県の元中学校教員の男(66)です。起訴状によりますと、男は2024年5月、知人女性の家に、不正に作った合鍵を使って侵入したほか、7月と8月にも同様の手口で侵入しようとして未遂に終わったとされます。
山口県内の裁判所で開かれた裁判。グレーのスーツにマスク姿で現れた男は、あらためて「間違いない」と起訴内容を認めました。
裁判で
▽男は女性と仕事の関係で知り合い、特別な好意を抱いたことから「生活をのぞき見たい」と思うようになった
▽男は、女性の出したゴミをあさるなどして行動パターンを把握した
▽ゴミの中から女性の体毛や使用済みの生理用品などを持ち帰っていた
ことなどが明らかになっています。
被告人質問で男は「女性への思い入れや関心が異常な方に発展してしまい、自制できなかった」「犯罪で、発覚すれば社会的地位を失うという認識はあったが、女性の日常を知りたいという欲望を抑えきれなかった」と話しました。事件については「大変後悔している」とし、自身の妻や子どもへも「申し訳ない」と話しました。
判決で執行猶予がつけば、女性と会うことのないよう、妻と一緒に遠方への引っ越しを予定しています。また、女性へ対しては「心に一生残る傷を負わせてしまった。少しでも穏やかな生活に戻ってくれることを祈るばかり」と話しました。
検察側は「犯行は計画的で執ようかつ悪質。ゆがんだ性欲や大きな執着があり、再犯の可能性も考えられる」として、懲役1年を求刑。一方弁護側は「男は深く反省していて、示談金300万円を女性に支払っている。妻と一緒に引っ越すなど、再犯防止の環境は整っている」として、執行猶予つきの判決を求め、審理を終えました。