入学式、ではなく「入社式」に親が出席。企業の狙いは何なのか。そして背景にある「親子関係」の変化とは。

なぜ?入社式に親が出席

「正社員として採用する」

緊張した面持ちで入社証書を受け取る新入社員たち。その様子をじっと見つめていたのは…家族です。
4月1日に行われた大手ソースメーカー『Otafukuグループ』(広島市)の入社式には家族も招待され、“恒例の行事”も行われました。

司会:
「一人一人が今の思いや決意を、大切な相手に向けて【声の手紙】として発表します」

新入社員が1人ずつ壇上に登り“社会に飛び立つ思いを伝える”というもので、新社会人となった若者たちの多くが、晴れ舞台を見守る親へ感謝の想いを口にしました。

「僕は一人っ子ということもあって愛されていたんだなと今でも思っています。お母さんの夢の二世帯住宅を建てること忘れていません。絶対叶えます」
その言葉に、涙をこらえるように大きくうなずく母。

感極まり、涙で言葉が続かない社員もいました。

新入社員(男性):
「お父さん、お母さんへ。今まで育ててくれてありがとう…今とっても反抗期で…」

新入社員(女性):
「このような場で今こうやって…話せているのは…今まで支えてくれた…家族のおかげです」

中には親に歌をプレゼントする新入社員もいて、「父も好きな曲で、縁が詰まっている歌詞だと思って」と選んだのは中島みゆきさんの♪「糸」。
壇上で歌う息子の姿をスマホで撮影しながら、父はじっと聞き入っていました。

父親:
「息子の成長を嬉しく思いましたし、よくぞここまで育ってくれたなと思いました」

入社式の後は家族でお好み焼きを囲み、親たちは工場などを巡る会社見学も。
しかしなぜ、こうした取り組みが行われているのでしょうか?

『オタフクホールディングス』人事部・双和寛子課長:
“社員は家族”という当社の思いを家族にもお伝えしたい。どんな会社なんだろうと思われているので『こういう会社なんだな』『ここに娘・息子は入るんだな』とイメージしてもらってるように思う」