プロ野球のペナントレースは、想像以上に長い。かつてのV9時代のジャイアンツや、2010年代前半のソフトバンクのように、多くの戦力を有していれば別だが、ドラフト制度が整備されて、人気面の格差がなくなり、戦力が均衡化してきた現代では、球団として選手を育成する能力とともに、いかにいいコンデションで選手一人一人がプレーできるかどうかが、優勝を争う上での重要な要素になっている。指揮官が、いかに我慢を重ねることが出来るか、選手たちを信じることが出来るかどうか、その上で選手たちが最後の最後まで役割を果たせるかどうかが、戦いを勝ち抜く大きな鍵を握っているのだ。

優勝インタビューの最後に、中嶋監督は、こう付け加えた。
「もうわかっていると思うが、うちのピッチャー陣の踏ん張りがなかったらここまで来られなかった。(この後のポストシーズンは)野手陣、頑張ってください」

その言葉通り、ソフトバンクとのクライマックスシリーズでは、自慢の投手陣に加えて野手陣が奮起。第1戦を山本投手の快投で勝利すると、第2戦ではシーズン中はなかなか調子が上がらなかった杉本裕太郎選手が決勝のツーランホームラン。日本シリーズ進出がかかった第4戦では4番・吉田正尚選手の豪快な一発に加えて、最後は進境著しい中川圭太選手が劇的なサヨナラヒット。どの試合も苦しい中、選手一人一人が諦めずに役割を果たし続けた結果、手繰り寄せた必然の勝利だった。

いよいよ日本シリーズ。相手は昨年と同じヤクルトスワローズ。今年も1点を争う息詰まる緊迫した試合が続いている。ただ相手は同じでも様相は違う。昨年と大きく違うのは、何よりもオリックスには一度日本シリーズを経験したメンバーが揃っているということだ。勝つためには、何が必要か?どれだけの我慢が大切か?絶対に諦めなければ必ず勝機はある。そのことを、身をもって知っているメンバーが多く存在することだ。

チャンスは最後の最後に来ると信じて勝利の女神を引き寄せたペナントレースのように、決して諦めないオリックスの強さ、その強さを知った上で迎え撃つ王者ヤクルトスワローズ。どちらが最後まで我慢できるのか、自分たちを信じることができるのか?明日からの京セラドーム3連戦からますます目が離せなくなってきた。


MBS制作スポーツ局 宮前徳弘