アメリカのトランプ政権は、中国に課している関税率が合計で145%になったと明らかにしました。これを受けて、10日のニューヨーク市場の株価は一時、2100ドルあまり値下がりし、終値は4万ドルを割り込みました。

トランプ大統領は9日、SNSで中国が相互関税への対抗措置をとったことを理由に「中国への関税を125%に引き上げる」と表明していましたが、これについてホワイトハウスは10日、中国に対する「相互関税」の税率を84%から125%に引き上げたと発表しました。

合成麻薬の流入を理由に課している20%の関税とあわせて、関税率は145%になると説明しています。

アメリカ トランプ大統領
「中国とは対話のテーブルを再設定しようとしていて、うまくやっていけると思う。私は習近平国家主席をとても尊敬している」

トランプ大統領は、中国との交渉には前向きな姿勢を改めて示しました。関税の上乗せで中国へ強い圧力をかける一方、これ以上、報復の応酬が激しくなることは避けたい考えとみられます。

10日のニューヨーク株式市場では、中国との貿易戦争への警戒感からダウ平均株価が一時、2100ドルあまり値下がり。相互関税の一時停止が発表された前日9日には、2900ドルを超える史上最高の値上がりを記録していましたが、中国への関税率が145%になるという情報が伝わったことが要因で、結局、1014ドル安と4万ドルを割り込んで取引を終えました。

一方、中国以外の国に対する相互関税については、トランプ政権は10日から税率の「上乗せ分」の課税を90日間、一時停止し、今後、各国と関税交渉を行うことにしています。

トランプ大統領は90日以内に交渉が決着できなければ、再び上乗せ分の税率を課す可能性があると説明しました。

アメリカ トランプ大統領
「相手国と我々の双方にとって、よい取引を成立させないといけないが、それができない場合、我々は元に戻ることになる。(Q.先週発表した関税率に戻る?)そう思う」

また、相互関税の一時停止の期間を90日から延長する可能性については、トランプ氏は「その時点で何が起きているか見ないといけない」と指摘し、延長する可能性も排除しませんでした。