プロ野球独立リーグで、昨シーズン悲願の日本一に輝いた信濃グランセローズ。
その一方で、経営面では厳しい運営を強いられています。
球団の現状と、家族とともに夢を追う選手を取材しました。

「イチニ、イチニ」

信濃グランセローズは、関東や甲信地方などの8チームが加盟するルートインBCリーグに所属します。現在は、練習生を含む、35人のメンバーで活動。

シーズン中は、週に4日ほど練習を行い、58試合のリーグ戦に臨みます。

去年、オリックスに育成ドラフト5位で指名された田島光祐選手、
ヤクルトで活躍する赤羽由紘選手などを輩出してきました。

そして、去年は「日本独立リーググランドチャンピオンシップ」で優勝。
チーム創設から18年目で、悲願の日本一に輝きました。

信濃グランセローズ・キャプテン 明新大地選手デジ:「頭を使って野球やっているし、1番から9番までそれから控えの選手を含めてみんな同じ方向を向いて、どうやったら勝てるかというのを考えながらやってきた」

全体練習のほかに、個人で取り組む時間を長く設けるなど練習方法を工夫しています。

その一方で、球団側には悩みも。

長野県民球団 竹内羊一社長:「残念ながら、2期連続の赤字決算になってしまいました」


輝かしい成績を残した一方、チームを運営する長野県民球団の去年の決算は、およそ485万円の赤字に。

長野県民球団 竹内羊一社長:「チームは強くなっているが、プレーオフ、グランドチャンピオンシップに進出するとそこには経費がかかるので、それが重荷になっている状況」

優勝後、スポンサー収入は、数百万円増えました。

ところが、チームが勝ち進んだことで、移動にかかる交通費や宿泊費、選手への報酬などがかさみました。

長野県民球団 竹内羊一社長 「勝てば勝つほどお金がかかってしまう状況」

追い打ちをかけたのがボールなど野球用具の値上がりです。


苦渋の決断も迫られました。

長野県民球団 竹内羊一社長:「本当に心苦しいんですけど、少し値上げをしました」

今シーズンから試合のチケットを一般は1500円から1700円へ、小・中・高校生は500円から600円へ、それぞれ値上げします。


お昼休憩の時間。
選手たちが食べていたのは、自分で作ったお弁当や、スーパーで割引販売されたお総菜。

記者:自分で作って持ってくる人は多い?
選手は:「節約にもなるので。それが一番かもしれないです」
選手は:「最初はコンビニで買っていたが、高いと思って自分で作った方が安いので」

独立リーグでは、球団の経済力によって、チーム力に差が出ないよう、サラリーキャップ制という仕組みが設けられています。

この制度は、所属選手の年俸の総額に上限を設定するもので、平均すると、グランセローズの場合、一人当たりの月給は、十数万円程度です。

信濃グランセローズ・キャプテン明新大地選手:「経済的には厳しいが、いろいろな人とのご縁があり、そういうところに僕は結構恵まれた方なので人のつながりとかはすごくありがたいなと思います」

それでもファンや地元の人々の支えが野球に打ち込める原動力です。
そんな「独立リーガー」の暮らしに迫りました。