大勢の外国人が訪れる長野県白馬村。
おととしは1年間にのべ25万人余りが村内の宿泊施設を利用しました。
そこで、需要が増えるのが、タクシー業界です。
白馬のタクシー事情を取材すると驚きの事実がわかりました。
アルピコタクシー 片岡和久さん:「出身はどちらですか」
利用客:「オーストラリアです」
アルピコタクシー 片岡和久さん:「私も一度オーストラリアに行ったことがあります」
外国人観光客と英語で会話するタクシードライバーの片岡和久さん。
大阪府出身で、白馬村出身の妻との結婚を機に白馬に移住しました。
当初は、ペンションの経営を行うなどして生計を立てていましたが、およそ7年前にタクシードライバーに転職。その理由(わけ)を聞いてみると…。
アルピコタクシー 片岡和久さん:「冬の間、タクシーは稼げると知っていたし」「(月収)150万円という話がある」

おととし1年間に、村内に宿泊した外国人はのべ25万人余りに上りました。
それに伴って需要が高まっているのが、旅行客の足となるタクシー。
多い月には、給料が150万円を超えるドライバーもいるそうです。
片岡さんが勤めるアルピコタクシー大町支社。
ハイシーズンには、1日800件ほど配車の問い合わせがあります。

多い日の売り上げは一日およそ200万円に上ります。
繁忙期は、別のエリアの営業所からおよそ10人ほどのドライバーが応援に駆けつけます。
インバウンド需要に対応するためこんな取り組みも。
「ウェルカム エブリワン ハロー」
去年から英語での基本的な対応ができるドライバーの養成を行っています。
英会話学校と協力し、タクシー業務で使う表現に特化した講座を用意。
希望する乗務員が受講します。
アルピコタクシー大町支社 薄井浩章支社長:「当社では、グリーンシーズンに英語の教師を会社に招いて英会話教室を年6回行っている。そんな中で語学力を磨いている」

この日、片岡さんが乗せた続いてのお客さんはアメリカ人家族6人。
アルピコタクシー 片岡和久さん:「長野駅になります。一時間ほどかかります」
長野駅までの走行距離は、およそ50キロ、運賃は3万円を超えます。
アルピコタクシー 片岡和久さん:「このあとどこ行くんですか?」
利用客:「京都に行く予定です。白馬に来る前は、東京で数日間過ごし、その後、白馬でスキーをして、今京都へ向かっています」

インバウンドの中には、成田空港や羽田空港へ向かう利用客もいて、片道およそ20万円の運賃になることもあります。
長距離の運転を繰り返すことで、月収150万円に近づくということです。
アルピコタクシー大町支社 薄井浩章支社長:「多少なりとも英語を話せるようなドライバーで、後は無事故無違反でしっかりやってもらって長距離の仕事ができると(給料が)違ってくる」
驚くべき白馬のインバウンド需要。
そこには外国人旅行者のニーズをつかもうとする企業努力もありました。