縁もゆかりもない土地でしたが、大学時代から交際していた香織さんとともに移住。3人の子どもと暮らしながら地域の田んぼを守り、コメ作りを続けてきました。

天明さんが上越に移住してから、今年で30年。今年もコメ作りの準備が始まっています。例年と変わらない春の風景ですが、この30年で農業を取り巻く環境は大きく変わったと感じています。
天明伸浩さん(55)
「30年前というと、まだ地域の人たちの平均年齢が50代とか40代の人もまだ結構残っていて、まだ村が賑やかだった。10軒以上の方が田んぼをやっていたんですけど、今は本当に4軒ぐらい」

県内全体で見ても、農家の数は30年ほどでおよそ6割減りました。
天明さんは、農家が置かれてきた厳しい経営環境がこうした事態を招いたとみています。
「(米価が)ずっと下がり基調で来た中で、資材とか機械代も全部上昇していくし。それなりの利益が出れば、皆さん、設備投資したりとか、人に投資したりできたんですけど、それがこの30年間、本当にできないまま来てしまっていて」

県産コシヒカリの卸売価格は30年間で3割低下。一方、農業資材の価格は全体で6割ほど上がっています。
天明さんはこうつぶやきました。「やっぱり農村に人が残らなかった」