ヨーロッパでは農家に支援金も

小川彩佳キャスター:
備蓄米が放出されましたが、コメの価格は下がっていません。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
(備蓄米放出を)21万トンと限定しているので、「しばらく蓄えていたらまた上がるのでは」と。
一方で、相当量を出すと、コメの価格が急落して農家が困るという構図があります。自民党からすると農家は自分たちの仲間です。なので、あまり下げたくない心理もありますよね。
小川キャスター:
農水大臣は、さらなる対応を躊躇なく行っていきたいというふうには言っていますが、どのくらいの価格を想定しているのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
少なくとも4000円を切って、3700円や3600円あたりに落ち着けばいいのかなというのが本音だと思います。それでも、去年に比べると倍以上ですよね。

藤森祥平キャスター:
一方、農家の皆さんは、これでもコメの値段はまだ安いと、深刻な訴えをしています。
ヨーロッパでは食料の安定供給のために、EUが農家に支援金を払って価格を維持する政策を行ってきました。
それにより、食料自給率の向上や農村の振興というメリットがあります。
ただ、市場の価格は高くなり、消費者にとって苦しくなります。さらに財政負担も続いていくことになります。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
コメ農家は、どんどん高齢化が進んでいて、後継者不足がとても深刻です。
コメというのは、作るだけではなく、周りの環境を保全したり、水の問題もあったり、コミュニティを維持したり、社会的に非常に役立っているわけです。もう少しコメ農家に対して、国が支援をしていくことを考えてもいいと思います。
どちらかと言えば、ヨーロッパは支援型、アメリカは市場原理型、日本はその中間でやってきています。もう少しヨーロッパ並みに、国土保全などのために支援をしていく必要があると思います。
日本の食料自給率は38%しかなく、いくら防衛費を増やしても国を守りきれない実態です。少なくても自給率を5割か6割くらいに高めていく努力をするのは国の責務だと思います。
小川キャスター:
その支援を行っていく方向に向かっていくのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
あまり向かっていないんです。
財政の事情もあったり、農業にだけお金を払うわけにいかないということがありますが、政策を転換する時期だと思います。
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<プロフィール>
星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年