板井さんはここで和傘作りを学ぶため福岡県うきは市から、今年2月にやってきました。
きっかけは建築学科を目指して臨んだ大学受験の失敗だったといいます。

板井功太さん
「浪人をして、将来のことをもう一度見つめ直した時に、もともと和傘にも興味があって、歴史の勉強もしていくうちにどんどんその魅力に惹かれてちょっとチャレンジしてみようかなという思いがあって…」

板井さんを和傘の世界に引き込んだのは家で放置されていた番傘。
ボロボロの状態でしたが、それでも和傘の魅力を感じるには充分だったといいます。

板井功太さん
「竹と和紙しか使われてないのに、耐久性が半世紀はもつっていうのが魅力かなと思います。開けたときはボロボロだったんですけど、中の糸はきれいな状態のまんまでやっぱそこに惹かれて、作ってみたいという気持ちが出てきました。」

浪人生活に区切りをつけ、和傘作りを学べる場所を全国から探しました。
そしてたどり着いたのが、和傘伝承館だったのです。

しかし、現在、伝統工芸は、衰退の道をたどっています。
「伝統的工芸品」として国の指定を受ける品々の生産額は、2016年に、1000億円を下回って以降、減少を続けています。
また製作に取り組む人の高齢化も進んでいて、技術の継承にも課題を抱えています。

淀江傘も1984年に最後の業者が廃業してからは、「淀江傘伝承の会」がその製作技術を後世に継承するための活動を続けるばかりです。