任務中、性被害に遭った元陸上自衛隊の五ノ井里奈さんが、加害者の隊員から直接謝罪を受けました。6月に退官後、実名で顔を出し、被害を訴えてきました。被害から1年半、孤独な闘いだったという五ノ井さんが、今の心境を明かしました。

■「なかったことにされたり嘘をつかれたり」性被害と闘った1年半

17日の朝、自衛隊員だったときの先輩や上司との面会を数時間後に控え、五ノ井里奈さんは緊張した面持ちでした。


元自衛官 五ノ井里奈さん
「眠れなかったですね。いざ加害者の人たちに対面するとなったらやっぱり怖いですよね。でも謝罪をもらわなかったら進まないので」


始まりは1年半ほど前にさかのぼります。陸上自衛隊郡山駐屯地に所属していた五ノ井さんは複数の男性隊員から度重なるセクハラ行為を受けていました。そんな中、去年8月の訓練中、五ノ井さんをさらに追い詰める出来事が起きます。


五ノ井さん
「私の股を広げ密着し、正常位のような形で何度も相手の陰部を押し当ててくる。男性隊員が1人で喘いでそれを聞いて周りが笑っていた。抵抗したがなかなか力がかなわず負けてしまって途中諦めて、ことが終わるのを待ってたんですけど」

同様の行為を3人の隊員が行い、それを見ていた上司2人は笑っていたといいます。


この性被害の後、五ノ井さんは適応障害と診断され、休職に追い込まれました。自衛隊内の警察にあたる警務隊に強制わいせつ事件として被害届を出しましたが加害者3人は不起訴処分となりました。


『目撃者が何人もいたのに皆が口を揃えて隠蔽をしています。本当に悲しいです』(検察審査会への不服申し立て 五ノ井さんのツイッターより)

検察官からの説明によると、複数の隊員がわいせつ行為をしているところは見ていないと供述したといいます。


五ノ井さん
「なかったことにされたり嘘をつかれたりして、もう辞めるしかなかった。中に残ったところで解決できないですから」