長野県内各地で、公共交通機関の確保が大きな課題となっています。
こうした中、長野県西部の木曽地域では、バス運行の再編で全国のモデルを目指そうという取り組みが進んでいます。
木曽地域には6つの町と村があり、東京23区の2.5倍の面積ですが、文豪島崎藤村が「木曽路は全て山の中」と書いたように山間地が特に多い地域で、過疎化が進んでいます。
住民の足を守ろうと6町村はそれぞれ住民のためのバスやタクシーを走らせています。
木曽6町村の南部にある大桑村で村が運行しているバスに同乗してみました。
午前7時半木曽福島駅行きのバスがやってきました。村がバス会社に委託、木曽地域の真ん中にある木曽町方面を1日4往復しています。木曽町には、郡内唯一の総合病院である県立木曽病院、2つの大型スーパーがあります。木曽の住民にとってニーズの高い町です。
バスは村内の細い道を走り住民を乗せていきます。
利用者は:「足じゃないですか、大切な」
利用者は:「免許持ってない人とか、雪の日であまり車を動かしたくない人とか、そういう人にとってはありがたいです」
さらに村では、バスのルートを外れた住民のために、予約制の乗り合いタクシーを走らせています。この日も木曽病院に向かう80代の女性ががタクシーで停留所までやってきました。
この日の乗客はわずか3人でしたが、村の考え方を大桑村の坂家重吉村長に聞きました。
「福祉だとかそういった点では効率だけを追求してしまうと何もできない話になりますので、住民の足を守るということから絶対に水準を落とさないようにするべき」
木曽病院では受付が始まる8時以降、木曽各地からのバスや送迎のクルマが続々やってきます。
大桑村からのバスは隣の上松町中心部には入らずに病院に直行、一方、上松町からは町営バスが木曽病院まで走っています。
南部の上松町、大桑村、南木曽町からはそれぞれ独自のクルマが病院を目指しているのです。
木曽地域でバスを運行するのはおんたけ交通1社です。6町村からの委託を受けて運行しています。
おんたけ交通取締役原俊郎バス事業部長「朝のスクールバス、病院へ来られるお客さま日常の買い物等も踏まえて全体的なことを担わなければいけないというのが事業者の役割として考えている。人員不足、働き手がないということが一番大きな課題です」
委託路線を担当するのは毎日16人の運転手です。
木曽は集落が点在しているため乗務時間は長くなります。加えて高速バスや貸切バスの運転もありシフトは窮屈です。
さらに、運転手の平均年齢は62歳で高齢化も課題です。
取材の結果、それぞれの町や村がバスの運行を委託していることで同じ方面へ何本もバスが走り運転手の数が限界になっていることがわかりました。
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