119番通報は100倍に 混乱する病院
福岡県西方沖地震でビルの窓ガラスが割れるなどの被害が相次いだ福岡市天神。
警固公園には多くの人が避難しました。
当時、医師4年目の前谷医師は、次々に運び込まれる重傷患者の救急処置に追われました。
済生会福岡総合病院 前谷和秀 医師
「真ん中のベット周囲にいましたね、重傷者が。3人ここに入るので全部ベッドは埋まってしまった状態でしたから」
福岡市によりますと、119番通報は1時間に通常10件程度ですが、地震の後は約1000件に上ったということです。
済生会福岡には100人以上のけが人が押し寄せ、混乱状態に陥りました。
75歳の女性が犠牲に
済生会福岡総合病院 前谷和秀 医師
「どの人がどういう重傷患者さんなのか、この人を優先して治療すべきなのか、それとも一番駆け込んできて先に来た人、大声をあげてるような主張する人を治療するのか、全然わからないまま各医師、各看護師の判断でこの人重傷だからといって中に入れてしまう状況ですね」

患者の緊急度などに応じて治療の優先度を判断する「トリアージ」ができていなかったと振り返る前谷医師。
倒壊したブロック塀の下敷きになり、骨盤や顔面の骨折などで救急搬送された75歳の女性が出血性ショックのため亡くなりました。

済生会福岡総合病院 前谷和秀 医師
「手術ができるのかという状況を確認できていないまま受け入れてしまったので、十分な治療・処置ができなかったというのが理由だと思います」