こうした薬不足による災害関連死を防ごうと、寿楽苑を運営する寿永会は、河野調剤と県災害ボランティアバイク隊との間で今年1月協定を締結。薬機法に基づくマニュアルを作成し、施設利用者がオンライン服薬指導を受ければ、バイク隊が医薬品を代替輸送します。

寿永会理事長 佐藤慎二郎医師:
「弱者の立場の人たちを毎日診ている我々が提案していくことが大事。お互いに協定を結べば薬を配達できることを示したことは大きいと思います」
この取り組みの要となるのがボランティアバイク隊です。2014年に設立された由布市のバイク隊は、これまでも災害時に孤立地域に入り、情報収集にあたってきました。

今回のマニュアルでは、施設からの依頼を受けてバイク隊が薬局へ出動。身分証明の確認を経て、鍵付きのバッグに医薬品を入れて孤立地域へ向かいます。薬を受け取った施設では、薬局とビデオ通話をつなぎ、薬剤師からオンラインで服薬の指導を受ける仕組みです。
県災害ボランティアバイク隊 小野秀生事務局長:
「薬機法でできる範囲で進めていますので、ある意味では動きやすい。大分県内はじめ、全国でもバイクを乗る方々が活躍する場ができればいいと思っています」
寿楽苑は、由布市の福祉避難所に指定され、災害時には地域住民も受け入れます。今回の協定では施設利用者に限らず、避難者の医薬品も輸送することで、地域で災害関連死のリスクを抑えます。

寿楽苑 小野精治事務長:
「おそらくボランティアでは日本初と表現させてもらいますが、今までだれもなし得なかった薬を簡単に運べるというところまできましたので、全国に広がって1人でも多くの災害関連死の防止につながればと考えています」
法規制の厳しい医薬品の代替輸送を実現した新たな一歩。災害弱者の命を守るために地域主導の取り組みが広がろうとしています。