全国で劇場公開されている「春をかさねて」と「あなたの瞳に話せたら」。津波で大きな被害が出た宮城県石巻市の大川地区が舞台の映画です。震災発生から14年となった11日、仙台市青葉区の映画館で上映されました。

映画を制作したのは、佐藤そのみさん(28)。児童ら84人が犠牲になった大川小学校で6年生だった妹のみずほさんを亡くしました。

映画作家 佐藤そのみさん:
「震災前の2009年くらいから宮城の大川で映画が撮りたいと思っていた」

被災した後もその思いは変わらなかったそのみさん。震災をテーマに映画を撮っていいのか…葛藤を抱えながらも大学在学中の2019年に2つの作品を制作しました。

「春をかさねて」は、震災で妹を亡くした14歳の少女とその幼馴染の繊細な心の揺れを描いた作品。そのみさんの実体験がもとになっています。「あなたの瞳に話せたら」は、大川で家族や友人を亡くした当時の子どもたちが何を感じ、どう生きてきたのかを故人に宛てた手紙の朗読を通じ描いています。

上映後、そのみさんは舞台挨拶に登壇しました。

映画作家 佐藤そのみさん:
「大川にいなかった人も東北で被災しなかった人もどこか自分の子ども時代とか自分の故郷で暮らしていた頃と重ね合わせて見てもらえたら」

映画を見た人:
「被災したようには見えず明るい雰囲気の人だと思った。震災を忘れないためにもこういう場が設けられるのはとても大切」

佐藤そのみさん:
「私は今28歳なので人生の半分が震災後になった。ここからはこの14年で成長させてもらった部分を大事にどんどん前に進んでいけたらいい」

新作の短編映画の公開も決まったそのみさん。自分の夢に向かって歩み続けます。