定期的に極端に明るくなる「連星」
(米田さん)
「かんむり座T星のような、定期的に星が極端に明るくなる現象を『再帰新星』と呼びます。かんむり座T星は、実は2つの星が互いを回っている状態で、これを連星と呼びます」
「両方とも恒星(太陽のように核融合を起こしてエネルギーを生み出す天体)でしたが、片方は、核融合に必要な燃料の水素を使い果たし、白色矮星(はくしょくわいせい)という、ガスを失い中心部だけが残った天体になっています」
「もう片方も恒星としての寿命を終えようとしています。終末状態の恒星は、不安定化し膨張します。このような状態の天体を、赤色巨星と呼びます」
ー定期的に明るくなるのは、どうしてなのでしょうか。
(米田瑞生さん)
「かんむり座T星を構成する赤色巨星の外側は膨張の余り、ペアになっている白色矮星の重力圏に入ってしまっています」
「つまり、赤色巨星を構成する水素ガスが、白色矮星に降り積もっている状況です。通常、核融合は恒星の中心部の、圧力が高い所でしか発生しません」
「しかし、この状態だと白色矮星の表面に水素ガスが蓄積され、徐々に圧力が大きくなり核融合が発生、爆発的に明るくなります」
「水素ガスを使い果たすと、核融合が止まり、また次の核融合が起きるまで、水素ガスが白色矮星の表面に蓄えられることになります」(図2)
図2:赤色巨星から白色矮星へガスが移動する様子
(米田さん)
「かんむり座は、春から夏にかけて、よく見える星座です。ぜひ晴れの国・岡山で、80年に一度の天体ショーを楽しんでください」