「みどり丸」という船をご存じでしょうか。沖縄の定期旅客船であるこの船が沈没したのは1963(昭和38)年の8月17日のこと。死者・行方不明者合計100人以上を数える、沖縄の海難史上最大の旅客船事故となったのです。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)

お盆休みの帰省客を襲った悲劇

8月17日の正午過ぎ、定期旅客船「みどり丸」はお盆休みの帰省客など228人を乗せて、那覇市の泊港から久米島に向けて出航しました。
しかし、当時、宮古島近海を北上する熱帯低気圧の影響で海上は荒れており、波が高い状況でした。

航路変更はノーマルな対処法でした。(写真はイメージ)

出港時から、みどり丸は安全を考慮して通常の航路を変更しました。
泊港の北西約10キロに位置する環礁(通称チービシ)側の航路にしたのです。
ところが、横波を受けて船体が傾き、浸水が発生しました。